2012年6月2日土曜日

望 無 亭 日 記: 書評・映画評 アーカイブ


2011年02月04日

ほとんど睡眠薬 ローマ人の24時間

古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活(アルベルト・アンジェラ・河出書房新社)★★★
古代ローマ人がどのような生活をしていたのか、その一日を追っている。今に通じる習慣や文化がある一?方、キリスト教以前の倫理観など、驚きも多い。ポンペイの遺跡を見に行ったことがあるが、鉛菅をつかった今と変わらない水道と蛇口があるのに非常に驚いた覚えがある。ローマ人が大好きだった浴場も、床暖房やスチームサウナがあったことは聞いていたが、断熱のため窓がペアガラスだったとは知らなかった。驚愕。
個人的にもローマは大好きで、内容も興味深いのだが、どういうわけかベットで読み出すとものの数分で猛烈な睡魔に襲われる。他の本ではそんなことはないので、この本だけの特徴。内容に依るのか、紙の薬品のせいなのか定かではないが、その効果は抜群。おかげで、読み終わるのに二ヶ月近くかかってしまった。寝付けないひとにお薦め、か・・・・・?

投稿者 Hiroto Takaguchi : 08:04

2011年01月31日

新書二冊

上海 - 多国籍都市の百年 (榎本 泰子 中公新書) ★★★★
上海万博に行くというので、由木先生がくれた一冊。これを読んでから行けば、バンドの夜もまた違った光景に見えただろうに。入門書としては良くできている。

ブータンに魅せられて (今枝 由郎 岩波新書) ★★★★★
僕の中で行きたい国No.1の国。国民幸福指数を打ち出し、GDPとは異なった路線で発展を目指す国。ブータンに1980年代に10年滞在した筆者の随筆。おそらく、この路線が取れるのはブータン以外にはなかろうと思うと、奇跡のような社会実験を行っている国である。
筆者は宗教学者なのだが、宗教学者の不信心とはよくいったもので、どこか冷めた視線が、単なる信奉者とは違う趣を醸し出している。あ〜、ブータン行きたい。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 18:59

2011年01月10日

宇宙は何でできているのか

宇宙は何でできているのか [幻冬舎,村山 斉]

どこかで読んだ書評での評判がよく読んで見た。
本当はこんなに簡単じゃないんだろうけど、非常に分かり易くエキサイティング。
物理学の発展に日本人が果たした役割の大きさに驚嘆

投稿者 Hiroto Takaguchi : 16:52

2010年10月18日

借りぐらしのアリエッティ

友人の結婚式の帰り。時間が少し空いたので日比谷で映画を見る。借りぐらしのアリエッティ。結構大きな箱なのだが客の入りは10人ほど。少し寂しい。監督は宮崎駿が後継者と見込んでいる米林宏昌。脚本は宮崎駿。
舞台は多摩のどこか。身近なお話。それだけにファンタジーなのかリアルなのか、その曖昧さゆえか話になかなか入っていけない。他にも映像表現のブレなどちぐはぐな所が目立つ。盛り上がりとしては、お手伝いさんに見つかる所ぐらいなのだが、それもするっと通り過ぎエンド。話が薄っぺら過ぎる。ポニョは純粋な子供向けファンタジーとしてなんとか納得したのだが、このところジブリ作品が面白くない。監督を育てようと若手を起用しているのは分かる。それにしても脚本がなっていない。ゲドもそうだったがやたらと直接的なお説教が多くいきなり興ざめ。ゲドが言うぶんにはまだましだが、ショウがしゃべってはいかんともしがたい。
宮崎駿も69歳。残念だが往年の力はもう無いようだ。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 08:37

2010年01月22日

エリック・ロメール

大好きな映画監督エリック・ロメール氏がお亡くなりなった。御年89才。あのすがすがしさとエロさが入り交じった映画がもう見られないかと思うと悲しい。
最初に見たのは「夏物語」という映画だった。男前なのだが、兎に角話の長い(実はこれがロメール映画の特徴だったのだが)のが面白く(これを面白いと思えるかがロメールを好きになれるかの境目)、実は常連だったアマンダ・ラングレがかわいかった。
しかし、ロメールが大学の先生やりながらの監督だったとは意外。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:35

2009年02月07日

チェ 39歳別れの手紙

チェ 39歳別れの手紙(監督:スティーブン・ソダーバーグ)★★
帰り道、最後の回の5分前に歌舞伎町の映画館に駆け込む。座席には20人ほどの客がいる。パート1と同じく中高年が多い。歌舞伎町という場所が高齢化しているのかも知れない。あの後、「チェ・ゲバラ伝(三好徹)」を購入。まだ読めていない。
ボリビアで共産主義革命を起こそうとゲリラを組織し、戦い、死ぬまでを描いている。ボリビアのゲリラがどのような規模なのか映画からは伝わってこない。民衆の支持を得られず、次第に孤立し追い詰められていく様子が描かれている。逆にカストロの存在を感じる。
登場人物も少なく、戦闘シーンも地味、風景もジャングルか乾燥した荒野で、焦点は否応なくチェ本人に集中する。パート1では強さを引き立てた喘息もここでは暗い未来を暗示する。教育者としての彼の元からも、人が去っていく。
果たしてパート2を作る意味があったのか。エンターテイメントとしては駄作だと思う。しかし歴史としては見なければならない。そうでなければ完結しない。パート2はDVDで良い。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:10

2009年01月26日

慰めの報酬

チェ 28歳の革命(監督:スティーブン・ソダーバーグ)★★★★
今の時代に何故「チェ」なのか? そんなエネルギーがふつふつとマグマのように若者に溜まっているのか? そんな時代性を考えながら、朝一番の映画館に入る。封切り間もないというのにお客はまばら。しかも観客の年齢層が高く、予想を裏切られる。70%位が50代以上という印象。時間帯のせいなのかよく分からない。
チェといえば、反体制のイコンというイメージが強く、知ってはいるのだけれど憧れとまではいかず、どこか非現実的な存在。それが僕にとってのチェだったのだが、少しイメージが変わったのが少し前に公開された「モーターサイクルダイヤリー」。南米を旅する若き医学生に小さくない共感を覚え、旅に対する憧憬を強くしたものだ。さて、映画であるが、時代を行き来する手法に好き嫌いはあるだろうが、ドキュメントタッチの撮り方としては悪く無い。ベルトロがどう見ても28歳には見えない、貫禄がありすぎるように思う。実際の国連での演説の写真は、才気みなぎる青年という感じだが、ベルトロはやや熟達した政治家という風。まあ仕方ない。

007 慰めの報酬(監督:マークフォスター)★★★
プロットが複雑で途中までちんぷんかんぷん。ああ、これは続編なんだ・・・・と気がつき、話が少しつながる。カジノ・ロワイヤルを見て予習した方が良い
もはやボンド映画ではなく、良くできたスパイ・アクション。よく考えればボンドはヘマしまくりなのだが、本人には自覚がないのか厚顔なのかそれを感じさせない。もう少し時間を長くしても、じっくりとしたプロットの方が良かった。これならボーンシリーズの方が良い。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:17

2009年01月19日

ローマ無き後の地中海世界

先週、月曜日辺りに風邪を引いたのだろうか、週の中頃から咳と微熱で金曜日についにダウン。土日を家で寝て過ごす。食欲も無く2日で三膳の茶漬けを食すのみ。今朝体重を計ると寝込む前から3kgも減っている。
寝ている間に、塩野七生の「ローマ無き後の地中海世界」上巻を読む。彼女の本は、魅力的な人物が居れば面白くなり、居なければ至極つまらない。この本も読み物としては「至極つまらない」部類だろうか。あっという間に北アフリカとイベリア半島を制服したイスラム勢力とイタリアと中心とするヨーロッパ社会との戦いを描いているのだが、これがローマ人の子孫かと思えるほど稚拙な争いが続く。
面白そうな人物としては、シチリア王フリードリッヒ二世が登場するのだが、通史のせいか扱いも淡泊。ベネチアについても詳細は「海の都の物語」を見よとなっているように、本人としても既に個別にはやり終えていると思っているのかも知れない。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:18

2008年10月13日

ハンコック

ハンコック(監督:ピーター・バーグ)★★★
少し時間が空いたので久しぶりに映画館で映画を見る。時間が合ったのがこの映画。スーパーヒーローが孤独感からアル中で、廻りに迷惑をかけまくりと、従来のヒーロー物とは違った視点で注目はしていたのだが、出だしのCGがショボすぎる。ウィル・スミスに シャーリーズ・セロンと出演料が嵩んでいるのは分かるが、一応特撮物なんだし・・・・・。
後半、ややストーリーらしき流れが出てきて、それなりに楽しめるが、まあB級映画ですね。しかし、シャーリーズ・セロンは相変わらず美しい。サイダーハウスルールがすばらしく、ずっとファンなのだが、時々訳の分からん「イーオン・フラックス」とかにでて評価を落とすのはなぜなんだろう。この映画もどちらかというと評価を落とす範疇に入るように思う。
さて、ハンコックといえば、建築を学んでいる者なら一度は聞いたことがあるはず。シカゴにある超高層「ジョン・ハンコック・センター」は、高層ビルの高さ比べでは必ず出てくる名物建築。角のようなアンテナが特徴的で、シカゴの観光名所でもある。ジョン・ハンコックはアメリカ独立の英雄の名でもあり、ビルのオーナーの保険会社の名称でもある。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 12:01

2008年08月24日

ハリー・ポッターと死の秘宝

ハリー・ポッターと死の秘宝(J. K. ローリング・静山社)★★★★
ハリー・ポッターの最終巻。いや〜しかしよく登場人物が死ぬこと。
前巻の記憶が曖昧なせいか、どうも今ひとつ感情移入できない。全体にどうも急ぎ足な印象。翻訳も言い回しが不自然なところがあってすこし引っかかる。しかし、おもしろい。結局枕元において数日で読んでしまった。
賢者の石がでたのが1999年だからかれこれ9年たつ。全て初版で読んでいる。「ローマ人の物語」の最終巻(初巻から14年かかった)を読んだ時も感じたが、でるたびでるたび、リアルタイムで読んでいると、その時間を振り返ってしまって年を取ったことを実感する。子供であればまさに自分の成長と重ね合わせ、全く異なった感想を持つに違いない。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 10:50

2007年10月30日

エコハウス私論など

エコハウス私論(小林光・ソトコト新書)★★★★★
農ある暮らしで地域再生 アグリ・ルネッサンス(山本雅之・学芸出版)★★★
デンマークの環境に優しい街づくり(福田成美・新評論)★★★
100年住宅への選択(松藤泰典・技報堂)★★★★★
日本人としてこれだけは知っておきたいこと(中西輝政・PHP新書)★★★★
学校では習わない江戸時代(山本博文・新潮文庫)★★★
日本の有名一族(小谷野敦・幻冬舎新書)★★★
ひとすじの蛍火-吉田松陰人とことば(関 厚夫・文春新書)★★★★

投稿者 Hiroto Takaguchi : 18:20

2007年08月19日

オーシャンズ13

久しぶりに映画を見る。

オーシャンズ13(監督:スティーブン・ソダーバーグ)★★
12よりはましとか、散々なレビューが多い13。そうはいってもダーバーグはそれなりにきちっとまとめ手くれているはず思って見たのですが、結果かなり退屈。シナリオも穴が多いし、個人的には12のほうがまし。アル・パチーノがあれほどオーラを発していない映画を初めて見る。

ついでにちょっと前に見た映画 ゾディアック(監督:デビッド・フィンチャー)★★★★
未解決の連続殺人事件を題材に、事件にはまっていく刑事と漫画家を描く。フィンチャーらしい映像がおどろおどろしい。「ドニー・ダーコ」では高校生役だったジェイク・ギレンホールも、「ブロークバックマウンテン」を経てすっかりおっさんになってしまった。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 16:53

2007年06月28日

【文明の衝突】冷戦後の枠組みを解いた名著?

文明の衝突(サミュエル・P. ハンチントン・集英社)★★★★
よく,単純な事を繰り返し繰り返し書いて,あれだけ分厚くできるものだ。率直な感想。
この本が出たのは1998年だから,も10年近く前という事になる。当時から話題にはなったが縁がなかった。数年前に気になって買っては見たが,その分厚さに圧倒されてそのまま書棚の肥やしにしてしまった。それが先日の引越で,たまたま書棚の目に付くところに移り,就寝前の一冊としてこの度ようやく読み終わった。
氏の主張は,冷戦終結後の対立の構図は,イデオロギーではなく宗教に基づく文明グループ間で起こるというもの。2001年の9.11以後,その主張はほぼ受け入れられ,あらゆる論調の基底をなしているように思える。ヨーロッパがカトリック系と正教会系の2つの文明に分かれているという視点は,コソボがなんなのかという,日本人には極めて分かり難い事象を解いてくれる。当時,日本が一国で一文明を形成する唯一の文明と説明されている事が,日本人の自尊心を擽ったが,実際扱われているページ数は極めて少ない。将来予測としては,日米同盟を徐々に解消し,中国に傅くとされているが果たしてどうであろうか。

「複雑系」とは何か(講談社・吉永良正)★★★
新書の入門書。数式もなく概念としての複雑系を分かり易く説明している。建築環境の分野も複雑系の最たるものと思えるが,複雑系的な研究は極めて少ない。実践的な事象を説明する道具としては,使えそうな気がするが。

 

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:14

2007年05月28日

The Holiday

ホリデイ(監督:ナンシー・メイヤーズ)★★★
やや年をとってきたキャメロン・ディアスが、心に傷ある泣けない女性を好演している。お互いの家を交換してバケーションを楽しむというのが流行っている(本まかいな)という設定の下、ロンドンとLAで新たな出会いが・・・・。という設定が今風という以外は古典的なラブコメディー。あまりに2枚目過ぎてこれまで好感が持てなかったジュード・ロウがなかなか良い味を出している。一方のケイト・ウィンスレットとジャック・ブラックはどうも苦手。
そういえば、エリック・ロメールの「夏物語」も夏のバカンスをバカンスに出かけた知り合いの家を借りて・・・・という設定だった。物が少ないからか、それようの保険が有るのか、日本では同様の仕組みを聞いた事がない。どういう背景があるのか調べてみようと思う。

バベル(監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)★★★★
評判通りなかなか良い。菊地凛子は孤独な聾の女子高生を正に体当たりでこなしている。日本の扱い方も、許せる範囲(実際ああなのかも知れない)。ブラピも難しい役をよくこなしているが、殆ど台詞のないケイト・ブランシェットがやはり素晴らしい。しかし役所広司が写っているハンティングの写真がいかにも合成で安っぽい。なぜあそこで金をケチる。かなり気になる。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:22

2007年05月23日

大阪人はなぜ振り込め詐欺に引っかからないのか

大阪人はなぜ振り込め詐欺に引っかからないのか(扶桑社・竹山隆範)★★
大阪人としてつい買ってしまったが、当事者としてはごく当たり前のことしか載っていない。しかし、読みながらやはり自分が大阪人であることを再認識してしまった。大阪人は、振り込め詐欺の電話がかかってくるのを心待ちにしている。笑いを取るネタとして手ぐすね引いて待っているのである。そんな所へは確かに電話をかけたくない。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 12:14

2007年05月06日

藤森建築と路上観察

「藤森建築と路上観察」展を見に行く。会場は東京オペラシティアートギャラリー(7/1まで)。オペラシティは初台だが、大江戸線で行けるものと思い込み、中井で乗り換えることに。中井には6,7年住んだ事がある。せっかくなので上京して最初に住んだアパートを廻って大江戸線中井駅に。路線図を見ると、初台に最も近そうな西新宿五丁目まで行き、そこから歩く事にする。地図を見ると方南通りから甲州街道までを南下する事になる。
ちゃんと調べれば良かったのだが、開場は11時から。小一時間ほど時間がある。丁度書店があるので、読みたかった本を購入。災い転じてである。喫茶店で本を読んでいると、気付くと11時を廻っている。塞翁が馬だ。会場はチケット売り場には5人ほど並んでおり、なかなか盛況。構成はベネチアピエンナーレ建築展の帰国展という事で、これまでの設計活動の大凡が分かるような展示になっている。ペネチアは前回が「萌え」で今回が「藤森」という事で、「日本はどうなっているんだ〜」と大いに日本への興味を高めたことと思う。個人的には「藤森」に共感がある。会場には、写真の他に、漆喰や屋根仕上げなどの素材も展示されており、焼き杉の香りが漂っている。奥の方には芝の塔が展示してあり、その辺りは当然草くさ� ��。これこそ藤森建築の展覧会である。
改めて、藤森建築を見ると、ボキャブラリー的には日本の伝統建築に殆どある物である事に気づく。本人も書いているように、芝棟からは影響を受けたと認めている。漆喰にしても、銅板にしても、土壁にしても、技術的には新らしくないが、それが新しいように見えてしまうのが藤森建築の魅力なのだろう(土壁に色々混ぜて見たが、結局ワラが一番いい。と言われてもね・・・・・。でもそれが新鮮だったりする)。しかし、伝統建築のボキャブラリーの中で、真壁だけは採用していないようだ。あれで真壁にしてしまうと、伝統的な茶室と何が違うのか? となってしまうからだろう。
以前から思っていたのだが、藤森建築と宮崎駿の造形デザインには共通するものを感じる。ナウシカやラピュタの造形と藤森建築がどこか似ているのだ。地面から生えたような・・・・。そのうちちゃんと検証してみたい。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 14:27

2007年05月01日

武士の家計簿

電車通勤の良いところは、本を読む時間が増える事だ。新書なら数日で読めてしまう。
武士の家計簿(磯田道史・新潮社)★★★★★
数年前に話題になった武士の家計簿。このところ江戸時代を見直す動きが活発化しているが、そのきっかけとなった本の一つ。金沢藩の御算用者が付けた家計簿を基に、幕末の武士の暮らしを描く。時代や職業としては、少し前に映画化された「たそがれ清兵衛」の主人公が近い。
「江戸の女」や「たそがれ清兵衛」、そしてこの本など、江戸の本を読んでいつも感じるのはその教育力の高さだ。生きていくためにはまさに教育が必要という事で、子弟の教育に父母だけでなく、祖父や後見人も登場し、徹底して生きる作法と技を身につけさせようとするのは、現代も同じかもしれないが、中身が違う。こういう教育を受けた人々が明治になって、世界に互して活躍するのだから、今よりレベルが低かったと思いこむのは、全くの心得違いというものだろう。
算術者は才能が全てなので、身分を超えて活躍する余地があり、そこから身分制が壊れていったとの記述があり、数学が必要な砲術者も同じと指摘されている。そういえば、大隈重信も砲術者の出身だった。

「人口減少」で日本は繁栄する―22世紀へつなぐ国家の道(日下公人・祥伝社)★★★★★
人口減少の何がいけないのか今一つ分からない。要は高齢者を支える労働力が少なくなって大変という事なのだが、少子化を招いたのは彼ら高齢者の責任であり、その責任を取って働き続ければ良いだけではないかと単純に思うのである。子供の養育というのは金もかかるし、労力も必要だ。それらからある程度開放されるのだから、女性も働くし、それほど悪い事ではないのではと思う。何より、この小さな島国に、1億2000万人もいることの方が異常だと、皆思っていたはずだ。東京の地価も、バブル期に高すぎると大騒ぎし、いざ下がり始めるとデフレだとまた大騒ぎする。何か本質を見失っているように思う。
そんな最中手に取った本。少子化の原因についての記述が面白い。

よく考えてみると、日本の未来はこうなります。 (日下公人・ワック)★★★★
先の本が面白かったので、日下公人の本をいくつかまとめ買い。時期が近いせいか、内容は「「人口減少」で・・・」とほぼ同じ。

ラブソングができるまで(監督:マーク・ローレンス)★★
会議の帰りに寄り道。東京はあちこちに映画館があっていい。
しかし映画は最悪(に近い)。ドリュー・バリモアは大好きだし、 ヒュー・グラントのお茶目な感じも好きで、この類の映画は殆ど見ている。ジュリア・ロバーツとヒュー・グラントの「ノッティングヒルの恋人」は、現代のおとぎ話として最高の出来だった。しかし、魔法は解けてしまった。
ストーリーは、「About a Boy」のBoyを植木係に変えただけ。人生を投げている男がふとした出会いをきっかけに、恋と人生を取り戻すというおなじみのストーリー。伝統芸能的ベタな話なのだが、それでもちゃんとまとめてくれればそれなりに楽しいはずなのだが、まず脚本が目茶苦茶。やたらとテンションの高いドリュー・バリモアが作詞に取りかかるまでは殆ど支離滅裂でリアリティーがまるでない。ヒュー・グラントは、いつもの役回りをそれなりにこなしているのだが、顔のしわが目立ち過ぎ、人生を投げた中年としてはあまりに痛々しい。そろそろ新しい役回りを考えないと、それこそ元スターになりかねない。
それでも最後は何とかハッピーエンドに辿り付き、それなりに少しハッピーな気持ちになれるところは、伝統芸の底力と言うべきか。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 08:30

2007年03月16日

ローマ人の物語

ローマ人の物語〈15〉ローマ世界の終焉 (新潮社・塩野七生)★★★★
15年に及ぶシリーズ最終刊。第一巻を読み始めて15年も経つのかと思うと、年を取った実感がわいてきます。ベタな感想ですがローマの滅亡と現在の日本の状況が驚くほどにていることに驚かされます。特に人の数では遥かに劣る蛮族に支配されてしまったのが、なんと云ってもローマ人の志気の低下、民族としての質の低下、国を自分で守るという意識の低下にあったことは、現在の教育の状況を考えると恐ろしくなります。特にキリスト教の登場が、ローマという国体の弱体化に決定的な役割を果たしたように思えるのですが、異民族同志の戦争が略奪と皆殺しが当たり前の時代に、蛮族にも広がったキリスト教が同じ宗派同志ということで連帯を始め、辛うじてローマ文明がその残渣を残す役割を演じたのは歴史の皮肉としか言いよう がありません。この時代から既にカトリック対異端の争いが始まっており、大らかな多神教国家であったローマの歴史を思うと、キリスト教の罪の大きさを感じずにはいられないのですが、いずれにしても何かの必然であったということでしょう。

宗教VS.国家(講談社・工藤庸子)★★★★
フランスという国は、政教分離の徹底した国で、最近ではムスリムのスカーフが学校の教室で禁止されたことからも分かるように、教育現場における政教分離は特に徹底しているという印象がある。我々から見ると、「それくらい・・・」と言いたくなるようなことなのだが。
巻頭、日本の人権のポスターにマザー・テレサが出ていることからこの本は始まる。日本人にとって、マザーテレサは極貧の人々の基本的人権を支えた聖女ということになるのだが、フランス人から見ると、キリスト教こそが基本的人権を長年にわたって阻害してきた張本人であり、フランス革命を通じフランスが戦ってきたのは、まさにキリスト教から基本的人権と教育現場を取り返す作業であったことが述べられている。彼らにしてみれば、100年以上に及ぶ闘争の末、十字架さえも教育現場から追放したという記憶が残っており、ムスリムの象徴であるスカーフももってのほかと言うわけである。
例によって、歴史の無知を思い知らされる一冊。

ソウルズ(角川書店・田口ランディ)★★★
出張中、K先生から譲ってもらった文庫本。心が何となく温かくなるベタな一冊。

    

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:37

2007年02月06日

日本人の心と建築の歴史

日本人の心と建築の歴史(上田篤・鹿島出版会)★★★★
都市と日本人―「カミサマ」を旅する―(上田篤・岩波書店)★★★★
昨年末読んだ上田篤先生の書籍をまとめ読みする。最近のものなので、内容的には非常に似通っており、結果的には「日本人の心と建築の歴史」を読めば充分。日本の歴史をヒメ・ヒコ制の歴史として解き明かしながら、日本人と住まいについて述べている。特に、日本人の行動原理をマナイズムとしているところは、目からウロコだった。なぜ、日本人は新築を好むのか。使い捨ての文化はどこから来たのか。この本は重要な視点を与えてくれます。

世界の日本人ジョーク集(早坂 隆・中央公論新社)★★★
少し前にテレビなどでも取り上げられていたベストセラー。出張の電車の中で読む。

007 カジノ・ロワイヤル(監督:マーティン・キャンベル)★★★★★
007というと、面白いのだが、ロマンスだとかハイテクの小道具だとかを見ていると、ちょっと恥ずかしくなるようなところがあるのだが、この007には全くそういうところがない。もはや別のスパイ映画シリーズといって良いだろう。小道具を抑えめにして、ハードな体を張ったアクションを中心に据えるのは、社会情勢を受けての最近の流れかもしれない。そう考えるとやや悲しくなるが、基本的には非常に面白い映画に仕上がっている。

スーパーマン リターンズ(監督:ブライアン・シンガー)★★★★
DVDで見る。X-Menシリーズのブライアン・シンガーが靴隆篤弔虜造鬚覆欧Δ辰銅茲蠢箸鵑精酩福あまり期待はしていなかったのだ、意外や意外、これがなかなか楽しい。レックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシーも良い味を出している。そういえば、第一作はジーン・ハックマンがやっていたが、キャラは殆ど同じで違和感がない。やはり名優ということだろうか。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:04

2007年01月09日

ヘンダーソン夫人の贈り物

ヘンダーソン夫人の贈り物(監督:スティーヴン・フリアーズ)★★★
福岡ではミニシアター系のKBCシネマにかかっている。ジュディ・デンチが良い味を出している。話は思ったよりあっさりしている。ケリー・ライリーが磁器の人形の様に美しい。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:29


悲しみと罪悪感

2006年12月19日

一万年の天皇

一万年の天皇(上田篤・文藝春秋)★★★★★
上田篤氏は、いろいろつながりがあり小さな時から名前だけは聞いていたが、会ったことはない。少し前、九州大学にレクチャーに来られたのだが、出張と重なりお会いできなかった。残念だ。この本を読み終えてさらにその思いが強くなった。
住まいとは何か? 都市とは何か? そして日本人の都市や暮らしとは何なのか? と問い続けた建築家、都市計画家が最後にたどり着いた、「天皇とは何か?」という問いに答えようとするものである。記紀や勅撰和歌集を読み解き、縄文の昔から続く日本の支配構造を祭司を司るヒメと軍事を司るヒコが分担するヒメ・ヒコ制であるとし、現在の天皇制(明治から昭和を除く)をヒメとヒコが一体化したものと解く。今年読んだ本の中では最もインパクトのある一冊。お会いしたい。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:08

2006年12月06日

逆説の日本史

逆説の日本史〈8〉〈9〉〈10〉(井沢元彦著・小学館)★★★★
室町中期から本能寺まで。とくに僧兵とは何か? 中世の宗教勢力の説明は面白い。いずれ詳しく。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 23:10

2006年11月29日

「月給百円」サラリーマン 戦前日本の「平和」な生活

「月給百円」サラリーマン 戦前日本の「平和」な生活(岩瀬彰・講談社現代新書)★★★★
戦前の生活がどのようなものだったのか、正直私もよく知りません。漠然としたイメージは、この本にも書かれているように、「闊歩する軍人、軍国主義」「銀座のモダンガール」といったまさにステレオタイプな情報でしかありません。しかし、ここ数年この戦前の様子が少しずつ紹介されるようになりました。1,2年前に戦前のカラーフィルムが発見され、NHKでそこにカラーで写っている活きいきとした生活、殆ど今と変わらない生活が、ある種の新鮮さと驚きを持って紹介されました。この本も、その延長線上もしくは原点と言えるかもしれません。
京大生は「ツケ」で、祇園で遊ぶことができた。飲み屋で高いお金を払うときに、なんとはなしに頭をよぎるある種の伝説ですが、これを読むと昭和初期の京大生には、既に難しい状況だったのではと推察できます。昭和初期には学制改革で大学の数が増え、大学卒の希少価値は薄れつつありました。そんな時代。庶民の月給が大凡100円(現在価値は2000倍の20万円)の時のお話です。
著者の岩瀬さんとはひょんなところでお会いしたことがあります。慶応の先生をしていた私の師匠を囲む会が銀座BRB(慶応OBの為のクラブ。慶応にはこんなのがあるのです)で催され、そこに鞄持ちでご一緒させていただいたときにご相伴させていただきました。昔話に花を咲かせ、やや童心(といっても大学生ですが)に返って楽しんでおられたのが記憶に残っています。
第二次大戦に至った道筋は、様々な角度から検証が行われていますが、給料の面から下級兵士が戦争の継続を望んだ(手当が出ていたので)という分析の紹介は、非常に新鮮でした。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:09

2006年10月22日

書評など

忘れられた日本人 (宮本常一著・岩波書店)★★★★★
内村鑑三の「代表的日本人」が上層の日本人だとすれば、この本に登場するのはまさに中流以下の、庶民の日本人の姿である。
日本人の歴史、習俗、宗教に興味を覚えるようになったのは、環境問題を研究する上で直面した「なぜ、日本では中古物件は好まれないのか?」「なぜ、使い捨てがおおいのか?」といった"なぜ"には、工学が答えてくれないからだ。そして、民俗学に基づく認知科学と工学の融合こそが、環境問題の解決の鍵になると考えているからだ。その面で、我々日本人は、あまりにも日本人のことを知らない。自分も含めて。
島根県田所村の古老・田中梅治の言葉として次のような言葉が載せられている。
自然の美に親しみつつ自分の土地を耕しつつ、故公文の大切な食料を作る。こんな面白く愉快な仕事が他にあるだろうか。年がら年中降っても照っても野良仕事というけれども、百姓ほど余裕の多い職業が他にあるだろうか。一旦苗代に種をまいたら植え付けまでの約2ヶ月は温泉旅行、本山参り、さては親戚訪問できるのは百姓ではないか。植え付けが終わって朝に草を刈り、牛の世話をすれば、昼寝をゆっくりできるのは百姓ではないか。秋、収穫を終え、籾を櫃に収め置き、囲炉裏に火を燃やしつつ、藁細工に草履の2,3足も作ってその日を過ごす。また、神仏に参詣して作り自慢を戦わしつつ、殆ど3ヶ月を呑気に暮らすことができるのは百姓でなければ真似のできないことではないか」
これは、江戸、明治、そして戦後しばらくの間の日本の話である。

逆説の日本史〈6〉中世神風編 (井沢元彦著・小学館)★★★
この巻は、鎌倉新仏教の話から鎌倉幕府の滅亡を描く。新仏教かなぜ新仏教なのか、日蓮はなぜラティカルなのか(創価学会がなぜ政治に進出するのか)、その根本がわかる。全体としてはややパワーダウン。

逆説の日本史〈7〉中世王権編―太平記と南北朝の謎 (井沢元彦著・小学館)★★★★
さて、この間の主人公は、金閣を作った義満から応仁の乱を招いた義政辺りを中心に。天皇になろうとした義政、神に撰ばれし将軍義教をみると、天皇とは何なのか? と問わずにはいられない。天皇は新憲法の下では、国民の象徴(シンボル)とされた訳だが、実は太古よりシンボル以外の何者でもないのではないか。軍事力を穢とし嫌悪するが故に、実質的な支配者を必要とし、実質的な支配者を取り替えることにより生き残ったシンボルである。この二重構造こそ、現在の日本のも支配している精神性そのものかもしれない。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 12:19

2006年09月24日

男子の本懐

男子の本懐(城山三郎・新潮社)★★★★
本懐とは,辞書によると「本望,本来の望み」というような意味で,この本の主人公,浜口雄幸は,[ 国のために命をささげ,その結果として命を奪われるようなことがあっても,それはそれで本望である」という意味で「男子の本懐」という言葉を使っている。
浜口雄幸と井上準之助,金解禁という歴史の教科書では一行程度で片付けられてしまう出来事に,命をかけた政治家の物語である。現在の政治家と比較し,現在を嘆くのは簡単だが,彼らのような政治家を必要としない,現在の幸せを思う方が良いかも知れない。なかなかよい。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 22:48

2006年09月14日

王になろうとした男

王になろうとした男(ジョン・ヒューストン著 ・清流出版)★★★★★
ジョン・ヒューストンといえば,我々に取ってはアンジェリカ・ヒューストンの親父で映画監督だったらしいという入り方だが,戦後の映画界を支えた一流の監督であり俳優である。そのヒューストンの自伝。自由に生きるとはこういうことかとうらやましくなる人生で,それでいて数多くの作品を残している。人生の密度が違う。

ゲド戦記(アーシュラ・K・ル=グウィン著・岩波書店)★★★★★
映画が酷評されているので,見る前に原作を読んでおこう。
実に,宮崎駿好みのストーリー。生と死,人間の性,そういったとても児童文学とは思えないテーマを正面に据えてファンタジーを作り上げている。比喩や省略も多く実際に難解。ハリーポッターがディズニーランドだとすれば,こちらは昭和記念公園というところか。

逆説の日本史〈5〉中世動乱編 (井沢元彦著・小学館)★★★★
この巻は主に鎌倉幕府の成立を扱っている。なぜ,源は3代で滅んだのか? なぜ北条がその後も権力を握り続けることができたのか,学校の授業でも最も腑に落ちない場面の一つが,実によく分かる。

  

投稿者 Hiroto Takaguchi : 09:32

2006年08月04日

逆説の日本史〈4〉中世鳴動編―ケガレ思想と差別の謎

逆説の日本史〈4〉中世鳴動編―ケガレ思想と差別の謎(井沢元彦 小学館)★★★★★
著者の井沢氏は、日本の歴史教育に決定的にかけているのは、文献偏重と宗教の欠如だと何度も繰り返し唱える。文献偏重についても、宗教の欠如についても基本的には同意する。全巻が特に「言霊」をターゲットにし、本館は「ケガレ」を中心に、なぜ天皇家が現代に至まで存続し続けたのか? 藤原摂関政治はなぜ武家に取って代わられたのかが解き明かされていく。中世の武家政権の誕生の原因となるケガレ(貴族のケガレ回避の行動様式)については目からウロコ。
筆者も述べているが、このケガレは現代日本でも生き続けている。日本人は人が使った中古品は極力嫌う。殺人が起きた大阪の池田小学校は解体され新しい校舎が新築された。小学校と高校の違いはあるにせよ、生徒が乱射事件を起こしたコロンバイン高校では、壁の塗り替えされされなかった。悲惨な思い出とともに、楽しい思いでも消してしまうからとの理由だそうだ。心の癒し方は、民族それぞれであろうが、日本の対応の背景にケガレを嫌う思想があったことは間違いないだろう。
住宅の中古パーツ(古材)や中古住宅を扱う際にも、このケガレをどうするかが、実はネックと考えているのだが、なかなか研究としてはまとまらない。今後のテーマである。

ハリー・ポッターと謎のプリンス(J. K. ローリング 静山社)★★★
ハリー・ポッターシリーズ第6巻。彼らも17歳ですっかり大人。なかなかおもしろいのは確かなのだが、読んだはずの前作5巻の内容が全く思い出せない。おもしろいのだが記憶に残らない。このシリーズの特徴か。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 12:24

2006年07月12日

サステイナブル建築と政策デザイン

サステイナブル建築と政策デザイン(村上周三編・慶応大学出版)★★★
サステイナイブル建築にまつわる日本と世界の政策の教科書。取りたてて新しいことは書かれていないが、初学者の教科書として現状を理解するにはちょうどよい入門書。野城先生のプロダクト。プロバイダーからサービス・プロバイダーへ移行すべきとの論点はおもしろい。

典子44歳 いま、伝えたい 「典子は、今」あれから25年(白井のり子著・光文社)★★★
字が大きいのであっという間に読める。読みながら映画のことを鮮明に思い出す。チケットを買うシーン、本人も強く覚えているシーンだったようだ。「私には障害者としての自覚がない」と書かれているように、内容は今一盛り上がりに欠ける。しかし、実際に一所懸命生きてきた人が語ると、「当たり前のことをやってきただけ」と淡々となってしまうのだろう。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 13:54

2006年07月10日

M・i・3

ミッション・インポッシブル3(監督:J・J・エイブラムス)★★★★
渡邊杯で痛飲し朝寝。洗濯、掃除を片付け、クリーニングを出しに行って散髪。そのままプラリバでお買い物。本屋で「典子44歳 いま、伝えたい 「典子は、今」あれから25年」という本を見かけて購入。その他ハリー・ポッターの新作もお買い上げ。「典子は、今」というと僕の世代であれば小学校で見た人も多いと思う。サリドマイドの副作用で両腕を無くした女性のドキュメント映画。結局、今まで見た映画の中でこの映画ほど鮮明に覚えている映画はないように思う。駅で切符を買うシーンは今でも真っ先に頭に思い浮かぶ。その後、熊本市に就職した、結婚した、断片的な報道は見かけたが、まとまった話は伝わってこない。大人になっても、どういう訳か、時々、彼女はどうなったんだろうと思い出す。それほどインパクトがあったということだろう。未だ読んでいないのでそのうち感想を書きます。
夜、あまりにも平凡な休日で、あまりにももったいないので、ユナイテッド・シネマの最終回を狙ってホークスタウンへ。例によって空いているので、買った本を読んで上演を待つ。15分ほどだろうか。気づくと80人ばかしの行列ができている。この映画館で初めて見る行列にびっくり。急いで列に並ぶ。列が途中まで進むと、なんとその列は隣のスクリーンの行列で、同じ時刻に始まる「サイレント・ヒル」の行列という失態。急いで隣の行列にならび直すも最後尾。ちょっと焦る。しかしここはユナイテッド・シネマ。よく考えれば2つの映画で80人の行列です。各スクリーンには40人ほどしかいない勘定です。心配しすぎでした。
さて、肝心の映画。ハラ・ハラ・ドキ・ドキということでは最上のエンターテイメントと言えるでしょう。おもしろい。ただちょっと脚本にアラが散見。「イーサン・ホークって本名なの・・・・。コードネームとかじゃないの?」とか「組織の命令系統を無視してそんなミッションができんの?」とか(その点「スパイ・ゲーム」はリアリティがあった)。「スパイってそんな感情的でやっていけんの?」とか・・・。後半はちょっとシリアスな「トゥルー・ライズ」っぽくなってきて微笑ましくなってきたりして。しかしトム・クルーズ。落ち目だとかカルトだとか、なんやかんや言われても、エンターテイメント映画として、ここまで持ってくるところはさすがと言うほかありません。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 10:33

2006年07月04日

逆説の日本史3 古代言霊編

逆説の日本史3 古代言霊編(井沢元彦・小学館文庫)★★★
ようやく3冊目。トイレと電車の中だけではなかなか進まない。この巻では称徳女帝から桓武天皇の平安遷都を描く。平安遷都は王朝の交代であったと解く。後半はタイトルにもある日本の言霊信仰について。現代でも本当のことを言うと眉をひそめる人は多いし、口にしたことが実現すると考える人は多い。古代においてはなおさらであったし、その事を理解して資料を読まなければならないと説く。私自身も、実現したいことは口に出して言い続けなければならないというのを信条にしている。これも一種の言霊信仰だろう。読み物としては若干解説がくどい。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 23:26

2006年06月23日

エコロジストのための経済学

エコロジストのための経済学(小島寛之・東洋経済新聞社)★★★★
どこかで書評を読み手にした一冊。環境問題は経済問題であるをテーマに、現在学の基本的にな理論で環境問題をひもといてゆく。お互いベストな選択肢は何かを知っているのに、セカンドベストでにっちもさっちもいかなくなる「ナッシュ均衡」など非常におもしろい。読みやすく環境経済の入門の入門としては非常に良い。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 19:42

2006年06月20日

楢山節考

楢山節考(監督:今村昌平)★★★★★
先月無くなった今村昌平監督の特集を深夜のBSでやっていた。実は今村作品をあまり見たことがない。女衒をちらっとテレビで見たことがある程度で、それさえも殆ど記憶にない。しばらく前に、日経「私の履歴書」で連載がありちゃんと見てみようと思っていた矢先の訃報だった。集中的に見てみようと、先週借りたDVDが「豚と軍艦」、そして先日の「楢山節考」。きびしい自然の中で生き抜くための「掟」の話。
ストーリー自体はよく知られたとおり、年老いた家族を、食い扶持を減らすため、山に捨てに行くというもの。死がテーマであるように見えるこの物語の本当のテーマは、いかに生き、そして死ぬか。ということだろう。
村には姥捨て以外にも、集団が生き残るための様々な「掟」が登場する。奴(やっこ)と呼ばれる長男以外の男は結婚することを許されない。盗みをはたらいた家族は村八分どころか、家族根絶やしにするため生き埋めにされる。それが日本中で一般的であったかはさておき、そういう文化が存在したことは確かだろう。
きびしい自然と地球環境の悪化を重ねてみると、京都議定書などは現代の「掟」と呼べるかも知れない。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 13:26

2006年05月06日

かもめ食堂

かもめ食堂(監督:荻上直子)★★★★
一昔前「やっぱり猫が好き」というドラマを深夜にやっていた。もたいまさこと小林聡美、室井滋の三姉妹の日常をユーモラスに描いたドラマで、どうも好きで仕方なかった。
大学へ自転車で行くと、帰りはなるべく通ったことのない道を行くようにしている。なにがしら、おしゃれなカフェや雑貨屋など新しい発見があるものだ。昔、建築家の大江匡と一緒に仕事をしたとき、学生に「大学の傍に住むな。遠くに住んで、毎日違う駅で降りるんだ」と言っていたのを思い出して、自転車で実践しているというわけである。今回の発見は「かもめ食堂」という映画だ。帰りにふと曲がるとRKBシネマという単館系の映画館を発見した。無論、以前から存在は知っていたし、車で通り過ぎたこともある。しかしポスターをじっくり読めるスピードで通り過ぎたのは今回が初めてだった。
そのポスターには、もたいまさこと小林聡美、片桐はいりが三人並んでいる。片桐はいりと室井滋と入れ替えれば、「やっぱり猫が好き」のメンツのままだ。室井滋は最近人気者だし忙しかったのかななどど思いつつ、自転車を停めて時間を確認するとあと30分ほどで上映開始だ。ゴールデンウィークの真っ最中だが、単館系ということもあり人はまばら。これは入らないわけにはいかない。そういうわけで、たまたま見てしまったのがこの映画である。
私自身、日本映画をめったに見ない。日本映画不毛の80年代に青春を過ごしたせいかもしれない。あのころの日本映画といえば、「ビルマの竪琴」と「南極物語」、そして角川映画くらいしか思い出せない。競争力という点では、とてもアメリカ映画には太刀打ちできるレベルではなかった。その影響がずっと続いて、今でも見る日本の映画といえば、宮崎アニメくらいである。テレビでは最近の邦画も見るのだが、習慣なのだろうか。なかなか足が向かない。そういう意味からしても、もたいまさこの力は恐ろしい。3人のうち誰か。と聞かれれば、そりゃもたいまさこでしょう。なのである。
さて、映画はフィンランドはヘルシンキに開店した「かもめ食堂」のお話。今、はやりのLOHAS的な映画として紹介されているが、実際はやっている食堂は死ぬほど忙しい。しかし、雰囲気はすっかりLOHAS。ちゃんとした食事を提供したいけど、どうも最近の日本人は分かってくれそうにない。それじゃ日本以外のどこかでということで選んだのがフィンランドで、名前はカモメ食堂。その食堂をダーツの旅よろしくたどり着いた日本人(片桐はいり)と空港で荷物がなくなった(もたいまさこ)が手伝い始め・・・・と、物語はゆっくりと、ユーモラスに、そして誰も来なかった食堂が徐々に埋まり始め・・・・という、なかなかこころさわやかな映画である。食堂のデザインがまたすばらしい。今回は、もっと続きが見たいという意味で四 つ★。
さて映画館を出ると、次の回のお客さんが並んでいる。なんと、そこには見たことのある学生さんの顔が。研究室の学生さんが並んでいる。「なかなか良い映画だと」と声をかけ、颯爽と自転車で立ち去ったのだが、よかった!、エロい映画でなくて。夜の風が心なしかいつもより心地よい。

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2006年05月03日

国家の品格

国家の品格(新潮新書・藤原正彦)★★★★★
最近のベストセラー。最近幸福とは何だろうかとよく考える。東京から福岡に来ると、幸福そうな人は東京より多いように感じるが、多くの学生は東京に旅立っていく。青い鳥のようなものだろうか。国家の命題が、より多くの幸福な国民を生み出すことだとしたら、市場主義が単純に最上な解でないことは、誰もが漠然とは感じているだろう。その本は、その漠然とした居心地の悪さを正してくれる。
特に、英語の早期教育に対する批判には強く同意したい。研究室では学生が自主的にネイティブを呼んで英会話の講習をしている。たまに参加させてもらうのだが、先生の「これについてどう思うか?」的質問に対する答えの幼稚さには驚かされる。あと、本では触れられていないが体力も極めて大事だ。

シリアナ(監督:スティーヴン・ギャガン)★★★★
ジョージ・クルーニーがベテランCIA諜報員に扮した政治サスペンス。監督はトラフィックも撮っている。中東の石油利権を巡って物語は進む。実話に基づく小説をベースにしているのだが、アメリカの国益とは何のか? 日本はどういう国を相手を同盟国としているのか、よく考えるべきだろう。
これも飛行機の中で見た一本。

ミリオンダラー・ベイビー(監督:クリント・イーストウッド)★★★★★
今アメリカ映画界で最も尊敬される映画人といえば必ず名前があがるイーストウッド。この映画では数々のアカデミー賞を獲得し、自身も主演、監督、音楽などを手がけている。
物語は貧しくもガッツのある女性ボクサーと心に傷のあるトレーナーのラブストーリーと言うべきだろう。物語としては、主人公の貧困や家族の話、トレーナーの生き別れた娘、片目を失明したジムの管理人、そして人間の尊厳と安楽死など、いくつもの話が折り重なり厚みを持たせている。そのサイドストーリーの全てがなにがしかの問いかけをしているのだが、そのどれもに明快な答えが映画の中は与えられない。そして愛だけが浮き彫りにされていく。エンディングには賛否があろう。しかしそれは本筋ではないと理解すべきだ。
そういえば「許されざる者」もどこかそういう作品だった。

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2006年04月24日

出張の飛行機の中で

オランダ出張の飛行機はKLMだったが、およそ40ほどのリストからいつでも好きな映画が見られるサービスを提供していた。おかげでかなり睡眠不足。時差ぼけ解消の役には立ちましたが。

ハリーホッターと炎のゴブレット(監督:マイク・ニューウェル)★★★★
原作よりも随分と大人のイメージ。いつまでこのキャストで行くのだろうか。前作よりも若干雰囲気が明るくなり、娯楽作品としての色合いが強くなった。

ナニー・マクフィーの魔法のステッキ(監督:カーク・ジョーンズ ,脚本・エマ・トンプソン)★★★
欧米では有名な子供向けの絵本が原作とのこと。脚本を主演のエマ・トンプソンがやっており、子供に良質の映画を提供したいという彼女の意気込みが伝わってくる。ありがちなことだがこの意気込みが若干説教くさく、前半はやや退屈。

エリザベス・タウン(監督:キャメロン・クロウ)★★★
オーランド・ブルームのアイドル映画。父親の死を通じて人生を見つめ直すというストーリーだが、父親がなぜあれほど慕われるのか? 父親と彼は疎遠なのか(長く会っていないという設定だが疎遠・・・)? といった物語とストーリーの設定に深みがない。主演女優のキルステン・ダンストはスパイダーマンを始めやたらと目にするが、日本人的には今いち感情移入ができない。そういえばヴァージン・スーサイズにも出ていて、アイドルかと思いきや着実にキャリアを積み上げている。

以下DVDで
オペラ座の怪人(監督:ジョエル・シューマカー)★★★
老練な監督だけにそれなりに楽しめるが、ミュージカルが好きでない人には少々退屈かも。主演女優のエミー・ロッサムなかなか歌が上手と関心していたら元オペラ歌手。ファントムのジェラルド・バトラーは歌が無骨でアメフト選手のよう。顔が醜いというのでどれほどのものかと見ているとひどい火傷程度。エレファントマン風の出だしだったのである意味拍子抜け。

レイ(監督:テイラー・ハックフォード)★★★★
ジェイミー・フォックスのそっくり具合が注目を集めたレイー・チャールズの伝記映画。音楽をメインに、ヘロインをサイドに物語が進んでいくが、基本的には才能にも家族にも恵まれ幸せな人生だなあという印象。映画的にはもう少し苦悩を強調しても良かったかも。音楽がとにかく良い。

以下映画館で
ブロークバック・マウンテン(監督:アン・リー)★★★
今年のアカデミー賞で最も注目を集めた作品。見た時点で、福岡では単館上映状態で客の入りもパラパラ。女性1人の客が多い。
アメリカは一見自由な国に見えるが、人種差別、女性差別、同性愛差別が未だに強い。映画の中で描かれたように、特に南部では激しい。一部の州では法律で禁止されていたように思う。そのアメリカで「同性愛者の純愛」が受けたのは、少なくとも表現の世界ではタブーがもはやなくなってしまったからだろう。習慣や家柄、国といった困難を超えて、如何に愛を成就させるかが物語のテーマであったわけだが、殆どの場合それらがたいした困難ではなくなり、見る方も理解できなくなってきたのだろう。「眺めの良い部屋」や「嵐が丘」を理解できる人はもはや少数派だろう。最近では「チョコレート」という映画もありましたが、人種問題はあくまでもサイドディッシュでした。その中で選ばれたのが同性愛ということだろう。
この意味から言えば、基本的に日本人は同性愛に寛容であり、受容の歴史も長い。「武士道は死ぬこと云々」の「葉隠」では男性同性愛と忍ぶ恋を最も高尚なものとして捉えているし、西鶴の好色一代男でも男が相手ていうのが出てくる。現代の日本では、それなりに迫害も受けるであろうが、困難さに関しては、日本人の受け止め方は、アメリカ人とはやや異なるだろう。
確かに映像は奇麗だが、やはり男同士のラブシーンは見ていて美しくない。物語としてもあれが男女だったら、黒人と白人の物語だったと思えば平凡。

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2006年04月18日

キリストの勝利

キリストの勝利 ローマ人の物語XIV  (塩野七生・新潮社)★★★
年1冊の予定で1992年から始まったこのシリーズも、この「キリストの勝利」を入れてあと2冊。初期のローマの勃興期を扱った刊は、とにかくわくわくどきどき、ハンニバルやカエサルが続々と登場し、これら2000年前の物語とは思えない臨場感があった。しかし、シリーズも残りが少なくなるにつれ、ローマが衰退期に入るにつれ、作者の熱意も若干失われてしまったのか、本に漂う熱量が随分と低下してしまっている。
さて、この14巻はキリスト教が公認され、そしてローマ帝国の国教となるに至る期間を扱っている。既に蛮族の侵入が常態化し、国境は無いも同然。打ち出す政策はどれも当座は正しそうに見えても、後から見れば致命傷を与えたと分析される愚策ばかり。揺り戻し的に現れたユリアヌスも早々に暗殺されてしまう。
最後にミラノ司教として登場するアンブロシウスは、特に信仰心があったわけではないが、その行政手腕と買われて司教の座につく。そして期待に応えまさにその行政手腕を活かし、キリスト教の国教化を進めていく。そしてついに、ローマのため神から、神・キリストのためのローマへと主客が逆転するにいたる。いつの世も、神が主体の世に人間は不幸になる。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 13:08 | コメント (1) | トラックバック


昏睡病棟

2006年03月24日

逆説の日本史

逆説の日本史(小学館文庫・井沢元彦)★★★★
九州は古代史の主たる舞台だ。実際に福岡にいるととのことがよく分かる。香椎宮や宗像神社はまさに、神代の歴史そのものだ。関西にいると、飛鳥や奈良は遠足の定番で、高松塚古墳や石舞台など天平の歴史に触れる機会が多い。育った大阪でも小学校の裏は四天王寺だったし、高校は高津宮の跡地に建っている。難波宮後もすぐ近くだ。そういう意味でも関西が大和朝廷発祥の地であり、日本の出発点だと信じて育って来たわけである。
それが九州にくると、天孫降臨の地は大分にある。定説としては定まっていない邪馬台国東遷説もかなり優勢だ。そんなこんなで、もう一度ちゃんと古代の勉強をしてみようということで手に取ったのがこの本である。やや筆者の妄想という気がしないでもないが、実際に九州にいるとかなり楽しめる。基本的な定説も紹介されており(批判の対象として)、それもちゃんと踏まえていれば、問題はないだろう。

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2006年03月21日

エミリー・ローズ

エミリー・ローズ(監督:スコット・デリクソン)★★★★
かなり怖い。劇中、聖母マリアが、悪魔に取り憑かれた理由を語ったとされる言葉は、恐ろしい出来事に遭遇したり、不幸に見舞われたりしたときの支えになるかもしれない。しかし、エクソシズムって専門の教育を受けた特別な神父がやるものと思っていたら、町の司祭が参考書を見ながらやっても良いのね。

アレキサンダー(監督:オリバー・ストーン)★★
史実はそうかも知れないけれど、別にそこを強調しなくても・・・・・。

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2006年03月15日

褐色の文豪

褐色の文豪(文藝春秋・佐藤賢一 )★★★
三銃士で有名なデュマ。彼が黒人と白人のクォーターだったと知っている人がどれだけいるだろうか。テーマは非常におもしろい。人物もおもしろい。しかし、佐藤賢一のこれまでの作品と比べると、物足りなさ感がある。

オクシタニア(集英社・佐藤賢一 )★★★★
なぜ異端裁判なるものが生まれたのか? なぜ火あぶりにされるのか。堕落する教会と宗教改革、諸侯の覇権争い。その狭間で生まれた宗教戦争の被害者はいつも庶民。日本人にとって中世ヨーロッパの仕組みが最も分かり難い。なぜフランス人がイギリスの国王になれるのか? なぜイギリスがフランスに領土をもてるのか? 現代人が持っている国家観と当時の国家はまったく異なることが分かる。

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2006年02月22日

ミュンヘン

ミュンヘン(監督:スティーブン・スピルバーグ)★★★★
このところ、宇宙戦争やらマイノリティ・リポートと駄作が続いていたスピルバーグだが、プライベート・ライアン以来の反戦映画で感を取り戻したか。なかなかの秀作。でも、どういう訳か泣けない。シンドラーのリストでは、途中から号泣してしまったが、この映画はそういう映画ではない。泣くでもなく怒るでもなく、何処までも心の居心地が悪い。この映画はユダヤ系からもアラブ系からも評判が悪いと聞く。それだけリアルということかもしれない。リアルなだけにすんなりとは受け入れられない。人間は人間に対して幻想を抱き続けたいものだ。

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2006年02月17日

ぼんくら

ぼんくら 上下(講談社・宮部みゆき)★★★★
以前よんだ「日暮らし」の前編。連載にはなかった追加部分がなかなか良い。

お神酒徳利―深川駕篭(祥伝社・山本一力)★★★
時代小説にはまっているのだが、宮部みゆき一辺倒なんなので、違う小説家をと手に取った一冊。そういばどこかで池波正太郎の弟子だと呼んだことがある。この辺りの時代小説の真骨頂は、その背景となる人々の暮らしが克明に描かれていることだが、宮部みゆきと山本一力では少し力の置き所が違う。どちらかというと、宮部みゆきの方が好きだ。終わり方もどうも尻切れトンボ的で、想像力を働かせてというのは分かるんだけど・・・・・。というところ。

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2006年01月23日

The 有頂天ホテル

The 有頂天ホテル(監督:三谷幸喜)★★★★★
さて日曜日の朝、相方はいつまでも起きてきそうにないので、洗濯と掃除、朝御飯の準備をすませておいて、朝一番目の映画を見に行った。近所のホークスタウンのユナイテッドシネマ。近いので何度も通っているが自転車で行くのは初めて。やはりというか思っていた以上に近い。まだ9時半なのでお店は開いていないが映画の上映は既に始まっているのもある。ちょうど良い時間なのがこの「The 有頂天ホテル」だった。実は三谷幸喜の映画はこれまでちゃんと見たことがない。テレビだけで舞台もない。しかし何となく想像がつく。きっと映画らしい映画だろう。
僕は映画らしい映画が好きだ。映画らしい映画って何よ? と聞かれると答えるのが難しいのだが、上映が終わった後、わくわくどきどきしてちょっと幸せになったような気分になれる。そんな映画が僕の映画らしい映画だ。そういう意味では、リアリズムに徹したドラマなんかは、映画らしい映画とは言えない。勿論そんな映画も大好きなのだが、映画らしい映画はときたま無性に見たくなる時がある。
さて、この映画。やっぱりそんな映画らしい映画でした。様々な登場人物のドラマが同時並行に進みながら、徐々につながり最後はハッピーエンドに大円団で終わってしまう。見始めた瞬間からどういう風に終わるのか想像がつくのだが、細かいプロットと三谷喜劇の笑いがそれを忘れさせてくれる。映画が始まって一分も経たない内に笑いを取る映画は初めてかもしれない。
この映画は、良くできたプロットもさることながら、それを演じる役者の演技にも注目するとおもしろいかもしれない。役所公司はさすがというかこの映画の為の演技をしているのだが、佐藤浩市はあくまでも「亡国のイージス」だし、香取真吾はバラエティ風。特に気になったのはあくまでも舞台向けの演技をしている客室係の堀内敬子とウェイターの川平慈英。これはカメラ回しも舞台風なので意識しているのだろう。他にもオダギリジョーや唐沢寿明も芸達者ならではの役回り。エンドロールまで気づかなかったのだが、館内放送のアナウンスをしているのは清水ミチコと具合にいろんな趣向が凝らされている。映画らしい映画。是非映画かんで見ることをお勧めしたい。

ネバーランド(監督:マーク・フォスター)★★★
こちらはDVDで鑑賞。監督はチョコレートのマーク・フォスター。チョコレートは少し重い映画だったが、今回はハートウォーミング路線。ジョニー・デップの抑えた演技がすばらしい。僕はケイト・ウィンスレットの小太り具合が生理的に嫌いなのだが、この映画では可もなく不可もなく。ヒーターパンの創作秘話にまつわるストーリーなのだが、ピーターパンのファンタジーと現実が微妙に解け合い美しい映像を作り出している。なにより4人の子供達とジョニー・デップの演技がすばらしい。当時の劇場の様子も知れておもしろい。

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2005年12月29日

双頭の鷲

双頭の鷲(佐藤 賢一・新潮社)★★★★★
「王妃の離婚」「カエサルを撃て」ですっかり気に入ってしまった佐藤賢一の初期の作品。英仏100年戦争初期に登場した英雄デュ・ゲクランの物語。手に取ると読む気が失せる分厚さだが、読み始めると止まらない。英仏戦争というと、ジャンヌ・ダルクが有名だが、彼女は100年戦争の後期の英雄。
この辺りの歴史に特段詳しい訳ではなかったのだが、海を渡ったイギリス軍がなぜフランスでかなりの勢力を維持し続けることができるのか、映画を見ていても不思議だったのだが、これを読むとその辺りの背景も理解できる。簡単に言えば、ブリテン島を含むヨーロッパという広がりの中に割拠する貴族が、小競り合いをしているということなのだ。我々が考える国家という概念がまだできあがっていない時代のことなのだ。
さて、この本。いつものように寝るに読む本として購入したのだが、この類の本としては選択ミス。目が冴えて寝るどころではない。結局寝不足が数日続くことに。やや展開に荒さが見られるが、緻密さとスピード感はすでにすばらしい。

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2005年12月18日

斜め読みのも含めて

近頃読んだり斜め読みした書評を少々

まぼろしの水素社会(藤井 耕一郎・光文社)★★
下の水素エコノミーの隣においてあったのでつい買ってしまった一冊。温暖化説も疑わしいし、石油枯渇説も疑わしい、よって水素社会促進も疑わしいという、仮説に仮説を重ねた論旨は少々滑稽であるが、水素をどうやって得るか? 自然エネルギーを水素に変えて貯蓄するのなら、そのまま使えばよい。というのはある側面からは正しい指摘である。実際、問題となるのは電気の貯蓄方法であり、その方法として水素は一つの選択肢ではある。しかし、仮に水素社会が実現するとして、それは数年後や十数年後のスパンではない。画期的な蓄電方法が現れればひっくり返る可能性もある。私個人としては、画期的な触媒が開発されて、水素が安価に取り出せる方法が開発されることに期待したいが。

水素エコノミー(ジェレミー リフキン・NHK出版)★★★★
化石燃料経済社会からどのように、平穏に脱するか? その解決策の一つとして、水素社会を解いている。基本的には結構なのだが、上述の問題は残る。

エネルギーシステムの法則(柏木孝夫他・産調出版)★★★
熱力学の基礎を学ぶにはちょうどよい教科書。特にエネルギーのカスケード利用に力点が置かれている。21世紀初頭の環境問題とエネルギー問題を理解しようとする初学者には良書。

日欧エネルギー・環境政策の現状と展望―環境史との対話(田北広道・九州大学出版会)★★★
科研費の報告書を元に書かれているので、やや難解。しかし、しばし比較されるドイツの環境政策や意外としっかりしている日本のこれまでの環境政策が詳細に記述されている。

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2005年11月14日

その日のまえに

その日のまえに(重松清著 文藝春秋)★★★★
羽田で時間がありいつもの本屋へ。「泣ける」とちまたで評判の「その日の前に」を手に取る。別に泣きたいわけではないのだが、他にこれといったものも見つからずそのまま購入。
「その日」とは最愛の人が死ぬ日。その日を迎える家族の物語。ロビーで読み始め、飛行機の中でも読み続ける。止められない。座席が狭い。隣のコムスメはなぜ、3人席で隣が空いているのにそちらに移らないのか・・・・。標題の「その日の前に」辺りから涙が止まらない。隣のコムスメの視線が痛い。

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2005年10月30日

幻覚

幻覚(渡辺淳一 中央公論新社)★
眠い。年をとったせいか、物語がつまらないせいか、寝る前に読む本としてはなかなか高性能。
エロスが売りの渡辺淳一だが、この本のエピソードはありふれたものばかりで新鮮みがなうえ、医学ものとしても、これといった深い考察や新しい情報の提供もない。ちなみにこの本は僕が買った本ではありません。たまたま家にあったもので。
 

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2005年10月09日

Sin City

Sin City (監督:ロバート・ロドリゲス,フランク・ミラー)★★★★
好き嫌いの別れる映画だろう。
アメリカで人気のフランク・ミラー原作の映画化。背徳に沈むSin Cityで同時並行で進む物語。どれも強烈なバイオレンスに彩られているが、何処なくコミカルで気持ち悪くならないの(人による)はロドリゲス監督の持ち味だろう。原作のフランク・ミラーはロボ・コップ2の脚本家という認識だったのが、改めて調べると役者もするし歌も歌うし、コミックも書けるという才人だ。こうなると、たぶん映画も自分で取れると思っていたのか、映画化のオファーをことごとく断っていたらしい。これを口説いたのが、これまた脚本から監督、音楽、編集まで全部一人でできてしまうロドリゲス監督。ちょっと話を聞いてとテキサスにミラーを呼び出したら、セットも役者もそろっていたという具合で口説いたらしい。意気投合する二人は結局共同監督(特別監督ということで、クエンティン・タランティー ノの名前も。ここまで来ると少々食傷気味か)ということに。共同監督を認めない、監督組合をロドリゲスが脱退するというおまけサイド・ストーリー付き。
映画としては、アメコミのダークな大人の世界が忠実に再現され、ミラー氏も大満足ということらしい。こういう映画らしい映画は大好きなのだが、好き嫌いが別れるところだろう。

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2005年09月30日

中村屋のボース

中村屋のボース(中島岳志著・白水社)★★★★★
しばらく前の書き込みで「ボーズ」と書いてしまいましたが、正しくはボースでした。
現在、学振の特別研究員という若手研究者の力作。インド独立の志士が日本に流れ着き、中村屋でインドカリーをつくり、戦前・戦中の大アジア主義の言論界をリードするまでになった経緯が、詳細な文献の裏づけを持って力強く語られる。大東亜共栄という夢が、日本の独善的なスローガンであったにせよ、当時欧米の植民地であったインドや東南アジアの人々にどのように受け入れられていたか、少なくとも日本で活躍していた革命家に力を与えたかがよく理解できる。
彼は、最晩年、いよいよ軍部と結びつき、日本軍と協力しインド独立に奔走するが、その夢目前に病に倒れる。それを受け継ぐのがチャンドラ・ボースなのだが、拙速なインド侵攻に反対するR.L.ボースがも少し生きていたら、陸軍最大の失策と言われるインパール作戦もなかったかも知れない。
戦前の隠れた一面に光を当てた力作である。このようなノンフィクションにしては文体も読みやすい。

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2005年09月07日

Apple Seed

さて、台風の合間に映画評を

Apple Seed(監督:荒牧伸志,原作:士郎正宗)★★★★
原作は完結したのだろうか? 高校生の時に読んでいた原作は当時未完のままだった。何かに連載されているわけでもなく(知らなかっただけかも知れないが)、ベストセラーになるわけでもなかったのだが、士郎正宗の作品には輝きがあった。士郎正宗原作ということでは、攻殻機動隊の方が有名であるが、私はその都市の描き方からこちらの方が好きであった。環境への興味が高まりつつあったあのころ、太陽電池を全面に搭載した都市像は、どこか望ましい未来像の様に思えた。
さて、この映画は3Dアニメーションである。2Dの世界では他の追随を許さないが、3Dの分野ではピクサーなどに一日の長がある。これにキャッチアップしようとしたのか定かではないが、一部に俳優のモーションピクチャーを取り込むといった試みも行われている。しかし、映画の出来をみると、この試みが成功したとは言えないだろう。最初から動きはぎこちなく感じられ、そのざらざらとした感じは最後まで取れない。余技にかまけたせいか肝心のカメラワークが、ゲームのムービーのように平凡でいただけない。
しかし、救いがないわけでない。メカのデザインはすばらしいしストーリーもなかなかすばらしい。当時、未完であった物語も映画の中ではちゃんと完結している。コミックでも完結していたのだろうか? 久しぶりに頭の冴える映画だ。

Starship Troopers Part2 ★★
Part1はバーホーベン監督の反アメリカ的アメリカ観が、ひねくれた感じで表現されていて、アホ映画なれども一抹のインテリジェンスが感じられたのだが、Part2ではこのインテリジェンスか感じられない。中途半端な予算のアホ映画である。

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2005年08月29日

ターミナルなど

映画評を2つ

ターミナル(監督:スティーブン・スピルバーグ)★★★
トム・ハンクスを主演に迎え、クーデーター騒ぎから法の隙間に落ちてしまい、空港に閉じこめられた男の話。ヨーロッパの空港での実話を基にしているが、ノンフィクションではない。ツボを押さえた感動ドラマではあるが、いまいち印象が弱い。出てくる人は、いい人ばかりで深みがなく、どことなく空回り。主人公と心通わすスッチーをキャサリン・ゼダ・ジョーンズが演じているが、これがなかなか可愛い。あまり好きではない女優だが、役者としてはなかなかすばらしい。しかし、いかんせんプロットが甘すぎる。

インソムニア(監督:クリストファー・ノーラン)★★★★
監督で手に取った一本。この前劇場で見て、この夏一番と絶賛しているバットマン・ビギンズの監督。つまり事実上のメメントとバットマンの間に作った作品。メメントで注目され、次は大作ということなのだが、予算は殆ど役者のギャラじゃないかという作品。掲示役のアル・パチーノ相変わらず渋い。最近の絶叫はあまり見られないが、オーラはさすが。犯人役は彼じゃなくても・・・・と思ってしまう、ロビン・ウィリアム。性格異常の殺人鬼でもなく、ごく普通の保身をはかる殺人者。他にも、警官役としてボーイズ・ドント・クライのヒラリー・スワンクやERで看護師役をしていたモーラ・ティアニーなんかもホテルオーナーとして出てます。
なかなか手の込んだプロットでおもしろいのだが、どこか没入出来ないところがある。内務調査、過去の不正、同僚の死、そして女子高生の殺人事件。お膳立てはかなり良いのだが、えらくすんなりと犯人がバレてからはかなり不調。アラスカの大自然のなかでロケしておきながら全くそれも活かされていない。映画として少し難しいところを狙いすぎたという印象。

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2005年08月13日

大江戸リサイクル事情

大江戸リサイクル事情(講談社・石川 英輔 )★★★★★
江戸時代は太陽エネルギーを最大限有効に活用する植物国家だった。これが石川氏の主張である。鎖国という特殊な事情のもと、植物によって蓄積された数年分のエネルギー、すなわち植物をいかに活用し生活をしていたか、具体的な事例を元に説明される。ともすれば遅れた暗黒の中世と思われがちがちな江戸時代には、いま我々が目指そうとしているリサイクル国家のモデルがあると。
近年、ドイツや北欧などの環境先進国を視察に行くことがはやっている。しかし、人口も地形もことなる欧米をまねることにどれほどの意味があるのか。我々が学ぶべきは、つい百年前、ものによっては50年ほど前まで実行されていた江戸の知恵を学ぶべきだと。それこそ日本人が作り上げた叡智であると。石川氏は訴える。耳が痛い。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 20:07 | トラックバック

2005年08月11日

日暮らし

日暮らし(講談社・宮部みゆき)★★★★
時代小説そのものは大好きなのだが、最近見方が少々変わってきた。研究で環境影響評価に取り組んでいるせいだろう。環境影響評価とは詰まるところ、どれくらいの生活をすればどれだけ環境への負荷を与えるかを定量化することと云える。これまでどれだけ負荷を与えるのか? という研究は非常に多く行われているが、どれくらいの生活、つまり豊かさを享受すれば、の部分については殆ど研究がない。現代社会における、豊かさに際限はない、という一種の経済成長神話のせいかも知れない。実際は、限りあるパイを分け合っているわけであって、際限がないはずがない。そう考えると、「豊かさ」とは何のなだろうとい壁にぶち当たる。
江戸時代は、ほぼ自然資本のみで自給してきた理想的な循環型社会であった。これはよく言われていることである。しかし、そこで繰り広げられている人々の生活はどういうものであったのか、豊かさはどうであったのか、興味がわいてきた。時代小説を読む際も、最近こういう観点から読んでしまう。
さて、前置きが長くなったが、この小説。基本的には推理小説なのだが、市井の庶民の生活がなかなか細やかに描かれており興味が尽きない。 ローソンの新製品。これがなかなかうまい。

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2005年08月01日

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうな私の12ケ月

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうな私の12ケ月(監督:ビーバン・キドロン)★★★
大ヒットした映画の続編。こういう書き出しの映画評の先はわかりやすい。例に漏れずがんばってはいるがそれなりにという印象。確かにブリジットは魅力的かも知れないが、どうしても名うてのプレイボーイと大物弁護士が奪い合うような女性には見えない。その辺が女性の心をつかむと目論んだのかも知れないが、こんなのに騙される女はいるのだろうか。しかし、ヒュー・グラントの扱いが相変わらずひどい(楽しい)。セックス・セラビーを受けていると口説くのは相変わらずなのだが、取材先でコールガールを呼ぶシーンは少々自虐的(本人、ロスの高級コールガールクラブの会員であることを暴露されたことがある)。軽めのコメディーとしては楽しめる。

あの頃ペニーレインと Almost Famous(監督 :キャメロン・クロウ)★★★★★
ロードショーの時には見にいけなくてずっと気になっていた映画。15歳の高校生が(飛び級している)ローリング・ストーン誌の記者となってブレイク寸前のロックバンドのツアーに同行する。70年代のアメリカの風俗を背景に、少年の成長とロックバンドの人間模様がロードムービー風に描かれる。音楽評論家でもあるキャメロン・クロウの自伝的映画と言われているが、なんと羨ましい。
ペニー役のケイト・ハドソン(ゴールディー・ホーンの娘)と少年ウイリアム役のパトリック・フィジットがなかなか良い。

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2005年07月25日

ローマ人の物語 13 最後の努力

ローマ人の物語 13 最後の努力 (新潮社・塩野七生) ★★★
歴史の物語を読むと、結局歴史とは滅亡への道筋を示すものであるということがよく分かる。繁栄を極めたローマ帝国も混迷の時代を経て一時再生したかのように見える。それがディオクレティアヌスの帝国分割統治の四頭政治であり、コンスタンティヌスの遷都である。なぜ帝国が都をローマからコンスタンチノープルに移したのか? なぜ、帝国は東西に分裂したのか? 世界史を習ってもとんと分からなかったのだがその疑問も本著により熔解する。
キリスト教を公認したことでも知られるコンスタンティヌスにより、中世は始まったとされる。いわゆる暗黒の中世である。キリスト教に基づく王権神授が打ち立てられ、それが支配層の固定へとつながっていく。長い目で見れば、一時の再生が滅亡の始まりであることも多々あるということだ。
日本で行われている数々の改革。これらの先にあるものは、破滅かそれとも再生か。だからこそ歴史が重要なのである。

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2005年07月19日

バットマン ビギンズ

バットマン・ビギンズ(監督:クリストファー・ノーラン)★★★★★
監督が違えばこれほど違うのかと驚嘆する。監督はメメントで注目を集め、インソムニアでメジャーデビューしたクリストファー・ノーラン。脚本もこの人。トムクルーズの意見を聞きすぎてなんだかよく分からなくなってしまった「宇宙戦争」。長年のファンのための「エピソード3」。そして大人のための「ビギンズ」ということか。3作のなかでは最も良い出来。
第一作は、ティム・バートンが子供の世界を暗いタッチで描いてマニアの賞賛を集めた。建築的にはゴッサム・シティのデザインを高松伸(現京都大学教授)が担当して話題を集めた。続編は良くも悪くもこの作品の呪縛から逃れられず、子供向けのエンターテイメントにもなりきれずに縮小再生産され、ジリ貧の状態だったのだが、この作品にて見事に大人のエンターテイメントとして再生した。
基本的には脚本がすばらしい。なぜバットマンが誕生したのか? という問にまじめに抜けなく応えている。主演のクリスチャン・ベールもマイケル・キートンほど暗くなく好演。脇を固めるモーガン・フリーマンもマイケル・ケインもリーアム・ニーソンも良い味を出している。名優がはまっている映画は基本的に良い映画だ(前作のミスターフリーズなんかはひどいもんだった)。懐かしいルドガー・ハウアーも出ています。刑事役のゲイリー・オールドマンなんか劇中は気づきかず、クレジットで気付いたくらい控えめ(ちょっと痩せ過ぎじゃないか)。
エンディングではちゃんと第一作に続くおまけ付きでツボを押さえている。この組み合わせでもう一度第一作から撮り直してみて欲しいと思ってしまう映画でした。

追記
エンディング近くに、モノレールがビルの地下に脱線してつっこむというシーンがあります。私自身は直接関係は無かったのですが、兵庫の事故を思い出して心が痛みました。関係者は見るのを控えた方が無難かも知れません。

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オリジナル猫ひっかき熱

2005年07月11日

初物 エピソード3

初物というとどうもミーハーな感じがして気が引けるのだが、たまの休日だしエピソード3の封切り日だと来れば行かないわけにはいかない。しかも、いつも空いているユナイテッド・シネマも近所にある。さて、8時過ぎに家を出て、10分ほどでホークスタウンに着く。駐車場は満車。少々焦るが、立駐に回り込むと空きがちらほら。勇んで映画館に向かう。この時間にしては人が多いのが気になるが、やはり珍しくチケット売り場に人が並んでいる。それでも10人くらいですが。この時点で8時15分。しかし、ここはユナイテッド・シネマ。「真ん中は埋まってますけど・・・・」と遠慮がちに示された座席は、真ん中の少し前の席で何の問題もない。チケットを購入して、ホークスタウンの定食屋で夕飯を食い、8時50分に映画館に戻る。 さて、後は映画評のなかで。

スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(監督:ジョージ・ルーカス)★★★★
話としては、アナキンが如何に暗黒面に落ちるかというのがメインテーマ。できとしては、3作中最も良い。子供成長や恋愛をテーマにするにはルーカスは年を取りすぎたとか、前2作では散々な云われようだったが、今回はそれなりの深みがある。話がつまらないと、CG等の特撮技術に目がいってしまうのだが、今回はそういうことも無かった。
また、このエピソードでは、旧3作につながるエピソードも数々登場する。共和国はいかにして帝国になったのか、誰か皇帝なのか(これは顔と声が似ているので、エピソード1からネタバレでしたが)、ダースベーダーはなんであんな甲冑を着ているのか? 等々。また、共和国軍の戦艦がだんだんとスター・デストロイヤーっぽくなってきたりと好きな人にはたまらない要素たっぷり。
唯一の欠点は、暗黒面に落ちるアナキンがあまりに唐突なこと。「え、そんなに簡単に落ちちゃうわけ・・・・」と主題だけにもう少し煮詰めて欲しかっと云えば欲張りだろうか。

マッハ!!!!(監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ)★★★
初タイ映画。タイ映画といえば「アタック・ナンバー・ハーフ」くらいしか知らないが、奥さんがどう? って云うから。ストーリーは、「村人の信仰を集める仏さんの頭が窃盗団に盗まれた。され、これは大変とお寺に育てられ、ムエタイの達人となったティンが取り戻すべくバンコクに。後は、闘いまくって無事に取り戻し、めでたしめでたし」という超単純なストーリー。しかし、この映画の売りはなんと云っても、特殊効果無し、ワイヤーアクション無し、早回し無しという肉弾シーン。見ていていたたたたた・・・・、というシーンの連続である意味楽しいが、全体に俳優の演技力に難があることもあり、後半はかなり飽きてくる。 しかし、ツレのジョージ(小堺一機似)と孤児の少女ムエ(日本人的にも可愛い)が良い味を出していて、それなりに楽しめる。一昔前の香港映画の様。

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2005年07月05日

大雨2&宇宙戦争

週末から今日にかけて福岡は断続的に大雨。漸く梅雨らしくなったが、梅雨ってもっとしとしとと降るものではなかったのか? 大粒でまるでスコールの様。
で、週末に見た映画評を一本

宇宙戦争(監督:スティーブン・スピルバーグ)★★★★
例によって近所のユナイテッドシネマ。日曜日の昼過ぎの上演というのに400席の劇場に100人もいるかどうかという状況。ホークスの試合があるせいか、駐車場は満車なのに、映画館は非常にお寒い状況。ま、だから5分前に行っても真ん中に座れるんですけど。ホークスタウンは大丈夫なんでしょうか?
ストーリーはほぼウェルズの原作通りで若干拍子抜け。主演はトム・クルーズと天才ダコタ・ファニング、ジャスティン・チャットウィンの3人の親子。宇宙戦争はあくまでも背景で、この親子の成長物語が映画の主題といってもよい。しかし、スピルバーグはこういうテーマはうまくない。あるところまでもってくる力量はすばらしいのだが、名作には今一歩届かない。A.I.しかりマイノリティ・リポートしかりである。しかも、彼には珍しくプロットの穴が目立つ。雷鳴の後、停電となり全ての電化製品(腕時計も含む)が動かなくなるのだが、どういう訳か侵略者を撮影しているビデオカメラは動いている。航空機が墜落したのに(食事を積んでいたので、回送ってことはあるまい)死体が全くない。劇中、とにかく残酷なものは子� ��に目隠しをしてでも見せないというシーンがやたらと出てくるのだが、何かとってつけたような教育メッセージのようで蛇足感が否めない。しかし、なんといっても始めとラストのナレーションの矛盾だろう。「長い間地球を観察していた・・・・・」と原作に忠実なエンディング。おいおい、土や空気のサンプルぐらい分析しようよ。とつっこみたくなる。
しかし、良質なエンターテイメント作品であることには間違いない。LMIのCGは芸術品だし、出演者の演技も悪くない。そう割り切れば、そこそこ楽しめる作品だと思う。

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2005年05月25日

コラテラル

週末に映画を2本

コラテラル(監督:マイケル・マン)★★★★
トム・クルーズ主演ということと、今年アカデミー主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックス助演ということで手に取る。トム・クルーズが悪役ということでも話題になった。
映像がスタイリッシュで途中で監督がマイケル・マンだと云うことに気づく。ヒートもそうであったがロスを美しく撮らせたら右に出るものはいない。音楽も良い。
主演はクルーズということになっているが、主題はタクシー運転手マックスの人間としての成長の物語。この辺のフォックスの演技がすばらしい。殺し屋役のクルーズは、どこか悪になりきれないところがあるのだが、そこもまた良し。
アクターズ・スタジオという演劇学校でのインタビューを放送する番組がある。フォックスの回の時は、歌って物まねをしてというサービスっぷりだった。相方曰く、「この人何でもできるのね!」って。「いやいや、この人はこういう物まねをやってたコメディアンですから」って。日本で云うと・・・・今や文人画家となってしまった鶴太郎のようなものか・・・・・。

エイリアンvsプレデター(監督:ポール・アンダーソン)★
受けねらいの三流映画。分かってはいたけど借りてしまう企画力が恐ろしい。ベースとなるエイリアンの設定を無視すること多々。結末は含みを持たせて一応続編への布石も打ってと・・・・。たぶん無いとは思うけど。

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2005年05月08日

くたばれハリウッド

くたばれハリウッド(監督:ブレット・モーゲン & ナネット・バースタイン)★★★★
正直、ロバート・エバンスなるプロデューサーの名前は知らなかったのだが、この映画を見ると彼がどれほど偉大なプロデューサーであるか(いまだ現役)がわかる。パラマウント映画の副社長であり、なおも現場でプロデューサーであり続けるには、相当の努力が必要だったと思うのだが、楽しげに24時間265日映画のために働くとさらっと言われてしまうと、そうでっか・・。と納得するほかない。本人のナレーションに味があるのをはじめ、ドキュメンタリー作品としては非常に斬新な映像技術が採用されていたりと、単なるドキュメンタリーの枠には収まらない。親友として登場するダスティン・ホフマンの物まねも面白い。

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2005年05月02日

バイオハザード2 

バイオハザード2 アポカリプス(監督:アレクサンザー・ウィット)★★
ゲームから派生した映画の続編。ミラ・ジョボビッチが無敵の工作員アリスを演じる。このところ続編ずいているが、当たりは滅多にない。この映画も例に漏れず。うようようごめくゾンビもなれてくるとコミカルですらある。墓地から死人がよみがえるシーンなんぞは、おいおい別の映画じゃないか・・・・。前作の設定はどこへいったとつっこみを入れたくなる。娘を救出に行くと、警察犬のトラックが・・・・。ゲーム感覚というかおきまりの伝統芸というか、ここまでくるとあっぱれです。

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2005年05月01日

コンスタンティン

コンスタンティン(監督:フランシス・ローレンス)★
アホ映画を見てしまった。大学からの帰り道、ふと映画館の横を通りそのまま入ってしまったのがこの映画。マトリクスを超える映像とかいう宣伝文句がいかにもいかがわしい。しかし時間が合う映画がこれしかなかったんだから仕方ない。主演はキアヌ・リーブス。一度自殺を試み、天国行きのチケットを手に入れるため、日夜悪魔払いにいそしむヘビースモーカーで肺ガンのエクソシスト。脚本は、教会かどっかからお金が出てるんじゃない? と疑いたくなるキリスト教宣伝映画。昔、CBSドキュメントか60ミニッツか何かで、アメリカ産戦争映画には、国威発揚のため国防省からお金が出ているとのレポートを見たことがあるが、保守化傾向が進む中、まんざらありえないことでもない。主人公の名前からして(これはコミックの� ��作のせいであるが)、キリスト教を公認し自らも教徒であったローマ皇帝コンスタンティヌスを連想させるし、テーマがなんと言っても悪魔vs神であるからして。
少しは期待していた映像も、これまでの映画のコピーばかりで斬新なものは何も無し。キリスト教マニア向け(エバ好きの方は気に入るかも)のお子様映画というところか。

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2005年04月28日

クリムゾン・リバー2

クリムゾン・リバー2(監督:オリビエ・ダアン)★★★
やはり第一作の方ができがよい。アクションとしては良くできているが、ぞくぞくするような不気味さがない。

ミニミニ大作戦(監督:F・ゲイリー・グレイ )★★
かかりつけのお医者さんが昔からミニに乗っていた。それにあこがれていた母も15年ほど前ミニを手に入れ愛用していた。当時免許を取りたてたっだ僕が最初に乗ったのもミニであった。最初は900ccのメイフェア。寒い時にはチョーク、冷房を付けると坂道が登れなくなると云う代物だったが、なんとも愛くるしい車だった。さすがに坂道が登れないのは・・・・ということで、しばらくして1300ccのクーパーに買い換えて愛車にしていた。高速を使い始めて東京大阪を往復したのもミニクーパーだった。
この映画には古いミニも、BMWによって新しくなったニュー・ミニも存分に登場する。ああ、相変わらず格好良いなあ・・・・。
原題は「The Italian Job」どうしてこれが、ミニミニ大作戦になるの? いつもは主役を喰ってしまうエドワード・ノートンもどうも乗り切れていない。どの登場人物も今一つ中途半端。これまたアクションとしては楽しめるが、それまでの映画。やっぱりミニは欲しくなるが。

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2005年04月05日

ローマ法王


ローマ法王がお亡くなりになった。最近のニュースはどちらかというと、権力にしがみつく法王という切り口が多かっただけに、良い時期だったのではないかと思う。ニュースを見ていると、コンクラーベといった少し神秘的な響きが漂う言葉が一般化したり、ヨハネ・パウロだと信じ切っていた名前が、アメリカでは「ジョン・ポール(John Paul)」とちょっと変だったり、大聖堂に運ばれて寝かされるときも、サンタみたいな格好はさせられるけど布団はかけてもらえないのね・・・・といった些細なことがことが気になる。
さてさて、既に次の法王は誰か? ということに注目が集まっているが、法王ってそんなに期待できるもんなんだっけ? と「ローマ法王の権力と闘い(小坂井澄著・★★★★)」という本を思い出す。権力との戦いではないところがみそで、もっぱら権力には負けっぱなし。反ユダヤ主義で国際的な孤立を深めたピオ9世、ムッソリーニと手を組んだピオ11世、ナチスによるユダヤ人虐殺に沈黙を続けたピオ12世と近世の法王を手厳しく論評している。中世のボルジアの法王を例に出すまでもなく、ヨハネ・パウロ2世は、そういう意味で例外中の例外的法王だったわけである。一番人気と2番人気で決着がつかなかったので、妥協案として関係が薄かったポーランドから選んだというのは有名な話である。
まあ、それほど期待せず、世紀のイベントを楽しみたい。

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2005年03月31日

司馬遼太郎が考えたこと(1)

司馬遼太郎のコラムを年代順に集めた文庫本。通勤や出張の移動に読むにはちょうど良い。壱は年代で言うと昭和35年くらい。地元大阪の人や風景がユーモアたっぷりに書かれており、ふむふむと読む。昔、司馬遼太郎の葉書を見たことがある。あれくらい味のある字が書ければ、ワープロなどいらないのに。

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2005年03月22日

Lost in Translation

Lost in Translation(監督:ソフィア・コッポラ)★★★★★
この映画については、いずれ長文を書きたい。なかなかのでき。デビュー作の「バージン・スーアサイド」ども非常によかったが、映像美と心理描写に磨きがかかっている。この人は心の機微を描くのがとてもうまい。そして描き方がなんとも新しい。都会の孤独と小さな出会い、そして癒し。書けば書くほど陳腐になるのが悲しい。
主演の女の子、どこかで見たことがあると思ったが、「モンタナの風に抱かれて」のなかで見ているようだ。これもなかなかよい。目が離せません

The Dreamers(監督:ベルナルド・ベルトリッチ)★★★
ベルトリッチ監督にしては、比較的わかりやすい作品に類する。映画への愛と若さというところでしょうか。しかしこの映画、なぜか18禁に指定されている。中身的にもそれほど過激でもない。

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2005年02月28日

ハウル

ハウルの動く城(監督:宮崎駿)★★
彼はいったい何をしたかったのだろう。見終わった後の率直な感想である。これまでの彼の作品には、彼独特の文明に対する批判的な姿勢があった。ナウシカは映画ではだいぶ薄められたが、原作では「生きる」ということと「人間の性」のようなものに、真っ正面から取り組んでいる。原作の後半はかなり暗い。もののけ姫では映画でそれが初めて全面に出され、子供向けのアニメ映画という枠から完全に抜けだした。これは、少々難解といわれたもののけ姫の反省からか、若干マイルドに薄められはしたが、千と千尋にも引き継がれた。
しかしである。この映画で宮崎映画は再びというか、初めて純粋な子供アニメを作ってしまったという感じだ。原作があるということもある。初めてに近い大人の恋愛をテーマにしてしまったこともあろう。プロットはとびとび、心の変化はまさに児童文学的に急激に盛り上がる。大人からすれば「おいおい」と言いたくなるスピードだ。戦争が背景にはあるが、「悲惨」を少々醸し出すスパイス程度にすぎない。機械のデザインは相変わらずすばらしいが、その描き方はどうもよそよそしい。いったい何がしたかったのか・・・・・。
内容は児童文学なのに、テーマは恋愛。声優の善し悪しも批判されているが、最初は気にならなかったが、妙に甘いせりふを吐き始めると、もう「キムタク」以外の何者でもない。倍賞千恵子も結構なお年のはずだし、老婆と少女を行き来する難しい役どころなれど、少々無理を感じる。駄作とは言わないが、平凡な作品と言わざるを得ない。宮崎引退後に外部の原作で事務所を維持するための実験か?と勘ぐってしまう。子供もたくさんきていたが、子供らしい歓声も聞かれなかった。この映画、本当にヒットしているのか・・・・。

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2005年02月21日

ボーン・アイデンティティ

ボーン・アイデンティティ(監督:ダグ・リーマン)★★★★
早速、第一作のボーン・アイデンティティ。「続編は前作よりもおもしろくない」というジンクス通り、第一作の方がおもしろい。続編も書いたとおりかなりおもしろいので、第一作はかなりおもしろい部類に入る。「謎解き」という部分では、第一作の方がおもしろい。エンドロールのテーマ曲は両方同じなのだが、結構渋い。何という曲だろうか?
さて、このボーンシリーズ。最初は、「Born」かと勘違いしていたが、主人公の名前。Robert Ludlumのスパイ小説が原作。残るは「The Bourne Ultimatum 」ということでなかなか待ち遠しい。 Robert Ludlumはすでにお亡くなりになっているようで、これで完結ということになる。ま、ハリウッドだけに、勝手な続編ができないとも限らないが。

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2005年02月20日

映画評を二,三!

呪怨(監督 清水崇)★★★
ハリウッドもネタ不足ということで、最近は日本原作のリメイクばやり。リングが結構ヒットしたので、最近は「Shall we dance?」までリメイクされている。これはリチャード・ギアにジェニファー・ロペスと結構気合いが入っている。日本のホラー映画などは滅多に見ないのだが、清水監督がハリウッド版のリメイクも監督すると云うことで、それならということでDVDを借りてみた。ちなみに、ハリウッド版呪怨は、天井の高さが日本家屋でないとあの恐怖感が再現できないと云うことで、オール日本ロケで行われている。
さておき、映画である。結論からいうと、映像、音楽ともにかなり怖い。ホラーとしては良くできていると思う。しかし、途中からどうも怨霊さんたちがコミカルに見えてしまうのは私だろうか。「なんで、白塗りやねん!」とか「なんで、そんな無理な体勢で覗きこんでんねん!」とかつっこみを入れたくなる。最終的には、もう少し控えめな演出の方が、怖いように思う。

My big fat Greek Wedding(監督:ジョー・ズウィック)★★★★
元々は、主演のNia Valdalosがロスでやっていた一人芝居の映画化。舞台を見たリタ・ウィルソンが旦那のトム・ハンクスにお勧めして、そんなこんなでトム・ハンクスプロデュースということになったらしい。制作費6億円という低予算映画ながら、結果的には100億円以上の大ヒット。奥様さまさまである。内容は、移民二世のギリシャ系の30娘が、よそ者のアメリカ人と恋に落ち、まあ、異文化コミュニケーションしながら結婚に至るというコメディー。脇役も良い味出しています。頑固にギリシャの文化を守りそれを誇るお父さん。やり手のおばさんやら、いっぱいいるニッキーやら・・・・。ほのぼののおもしろい。
しかし、これを見ているとギリシャ人がすばらしい古代文明と哲学を生み出しながら、世界を制覇する世界文明になれなかった理由がよく分かる。

ボーン・スプレマシー(監督:ポール・グリーングラス)★★★★
記憶を失ったCIA工作員ジェイソン・ボーン(マット・ディエモン)が陰謀に巻き込まれながら記憶を取り戻そうともがき戦うアクションムービー。ちなみにスプレマシーとは「至高」という意味らしい。
数年前に上演した「ボーン・アイデンティティ」の続編。前編を見ていない続編映画なんか滅多に見ないのだが、時間が合ったのがこれしかなかったのだから仕方がない。なぜ、前作を見なかったかというと、ヒロインのマリー役のポテンテ(ラン・ローラ・ランのドイツ人女優)がいまいち可愛くなかったのと、インテリのマット・デイモンがアクション?と、ちょっとした違和感があったからだ。天才数学者役を演じ、自ら脚本も書いた「グッド・ウィル・ハンティング」では、アカデミー脚本賞を受賞し、自身もハーバード大卒。そのデイモンが、数カ国語を操るCIA工作員・・・。ないない。と思ったのである。
が、どうしてどうして、結構おもしろいではないか。カメラ回しがなかなか良いという監督の腕もあるが、身代わりに死んだマリーに対する思いや過去の仕事の罪悪感に悩むといったお得意の役回りと、凄腕の工作員というアクションがなかなかうまくマッチしている。
とりあえず、第一作を早速DVDで見てみるとしましょう。

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2005年02月06日

Cube2 HyperCube

Cube2(アンジェイ・セクラ監督)★★
低予算ながらスマッシュヒットとなったCubeのリメイク版。要は、低予算で結構ヒットしたので、もうちょっとお金をかけて大ヒットを狙っちゃおうという、下世話な話。
基本的なプロットは第一作と同じ。訳の分からないまま、いつの間にかか「Cube」に閉じこめられた人々が脱出を試みるという不条理ムービー。しかし、第一作では、分からないままそのままに放置してあった、その辺を一般向けに少しヒントを小出しにする風に明らかにしている。これは何? なぜ私はここにいるの? っという、第一作ではあえて無視されていた設定が、少し細かく設定されている。
しかし、映画としてはこれが逆に作用している。極限の中での人間模様や心理がクローズアップされた前作に比べ、Cubeそのものの機能や登場人物の繋がりが強調され、不条理感が薄まり、映画としては平凡なできになってしまった。低予算のリメイクが駄作に終わった「オープン・ユア・アイズ」に通じる物がある。

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2005年02月01日

オーシャンズ12

オーシャンズ12(スティーヴン・ソダーバーグ監督)★★★★
近所のホークスタウンのユナイテッドシネマ。駐車場3時間分のサービスチケットもくれるので重宝している。しかし、福岡の都心にある2大シネコン、ホークスタウンとキャナルシティでは演目がほぼ同じ。少しは違いを出さないと、経営上もおもしろくないのではと思う。現に日曜日の7時スタートの映画館は、僅か20人程の入り。入場者ランキング1位の映画がである。
それはさておき、オーシャンズ12。全作は11だったのが嫁を巻き込んで12となった次第。エリン・フロコビッチやトラフィックのソダーバーグ監督作品である。全作で盗んだ1億数千万ドルを返せと脅されて(なんで、逃げんのや・・・)、それを返すために再び集まり新たな盗みを・・・・。少々プロットの無理が気になるが、映画としてはかなり楽しい。これも全作を大ヒットさせた監督のなせる技か。色男たちも妙に楽しそうに演技している。男どもは脇に置いてこの映画の収穫は12番目のジュリア・ロバーツと次は13番目か?とも思われるキャサリン・ゼダ・ジョーンズである。ほぼすっぴんのジュリア・ロバーツは劇中で偽ジュリア・ロバーツをやらされ、カメオ出演のブルース・ウィリスと絡んでどたばたを演じて� ��る。年取ったな・・・・・と率直な感想。逆にキャサリン・ゼダ・ジョーンズ。この女優は、どうも相性が悪く印象が良くなかったのだが、この映画では極めてかわいらしい役回りを演じている。はあ、こんな役もできるのね・・・・。と評価急上昇。
全体としては、かなり楽しめる。単純に楽しむにはお勧めの一本。

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2005年01月30日

イラクの中心で・・・・CASBEE入門

イラクの中心で馬鹿と叫ぶ(アスコム・橋田 信介)★★★
イラク戦争(日本政府が言うには安全になってから)で死んだジャーナリストのイラク戦争体験記。ベトナム、カンボジアと戦場を駆け回り、還暦をすぎてもなお「おもしろいことないかなあ・・・・。どこかで戦争でもはじまんないかなあ・・・・」と好奇心の赴くままに戦場に出向く、老ジャーナリストの記録。戦場ジャーナリストは詐欺師であるというように、狡猾に図太く戦場を生き抜いていく。これといった盛り上がりはないのだが、飄々と目の前の現実としての戦争とそこに生きる人々、そしてそこを徘徊するジャーナリストの様子が述べられる。戦争ってこんなもんなのかな・・・。
一度、朝まで生テレビに出ているのを見たことがある。イラクで人質となった3バカと二人の自称ジャーナリストが帰ってきて、しばらくたった時だった。論者からの集中攻撃を浴びる若いジャーナリストに対して、次はもっとちゃんとやれと一人エールを送っていたのが記憶に残っている。

CASBEE入門(日経BP社・村上周三)★★★
建築物の環境性能を測る国産指標「CASBEE」の入門解説書。平易な言葉で解説されていてわかりやすい。CASBEEの授業での利用方法なども載っていて便利。
一研究会がまずは私的に作っていると思っていたCASBEEがあれよあれよという間に業界標準に(なったのかな?)。この戦略はさすがというほかない。実際に使ってみると、自己評価的側面が強く、評価者を複数にするなど工夫も見られるが、自治体が採用するのは問題が多いという気がする。しかし、これまでかなりの専門的知識が評価には求められていたわけで、ある意味それが傷害になっていたわけであるが、ある程度建築に関する知識のある人が、少し頑張ればなんとななるレベルにまで持ってきたのはさすがというほかない。

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2005年01月19日

カンフー・ハッスル

カンフー・ハッスル(チャウ・シンチー監督)★★★
少林サッカーのチャウ・シンチー主演・監督作品。少林サッカーのお馬鹿さんかげんが好きだったので、劇場まで見に行ってしまいました。このひと、映画が好きなんだろうな・・・・・としみじみと思える映画です。ストーリーはあってないようなものですが、もう少しちゃんとしてた方がよかった。そういう意味では少林サッカーより評価が落ちるのではないだろうか。それでもまあまあ笑えます。まあ、少々ブラックなドラゴンボールを見ていると思えばきっと楽しめます。

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2005年01月17日

まろ、ん?―大掴源氏物語

まろ、ん?―大掴源氏物語(小泉吉宏 幻冬舎)★★★
源氏物語や枕草子、方丈記・・・・・名前は知れども中身はちっとも。受験勉強の弊害とも思うのだが、古典へのあこがれは年を追う毎に深くなるのだろうか。このところ古典と言われるものに興味が行く。英国では日本人とはゴルフの話をしさえすれば大丈夫と言われるように、日本人の教養は実は馬鹿にされている。彼らにとって、教養とはシェークスピアであり、音楽であり演劇であり、ウイスキーであり、英国の歴史であり、実によく勉強している。振り返ってみると、日本人はどれほど日本の古典をちゃんと読んでいるのだろうか。
さておき、これを読めば源氏物語全部読んだ気になるあらすじ漫画。2ページで各帳の粗筋を書ききると言う意欲作。複雑な人間関係・姻戚関係の相関図もあってわかりやすい。
しかし、原作を読んだ人には少し物足りないだろう。しかし、こういうものを事前に読んでから古典の勉強をしたかった。今の中学生は幸せだな(たぶん)。

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2004年12月21日

バイオリージョナリズムの挑戦

バイオリージョナリズムの挑戦(群青社 プーラン・デサイ/スー・リドルストーン)★★★★
本書は「スモール・イズ・ビューティフル」で有名なE.F.シューマッハーを記念するシューマッハー協会の叢書第8巻。とは云っても、彼の著作ではなく「バイオリージョナル」というロンドンを中心に活動する環境NPOの活動を紹介したもの。彼らの活動の一部でもあるゼロエネルギー開発、BEDZedは日本でも有名になりつつある。
実は、我々の研究グループでは、謝辞にも登場するバイオリージョナル設立以来のメンバーでもあるニコール・ラザレス女史を2004年12月に開催した国際ワークショップのパネラーとして招待した。彼女が日本に到着したと聞いたときには、本当に涙が出るほどうれしかったのだが、それもこれもそこに至る交渉がかなり大変だったからだ。この紆余曲折は別の機会に改めて報告したい。
実は、彼女にこの本を紹介されるまで、この本については知らなかったのだが(反省)、ロンドンにおける様々な環境活動についての紹介が詳しく紹介されている。とかく環境NPOの活動は、自己満足的なくぼみにはまりこんで、一部のマニア的な人々の賛同は得られても、大多数の賛同は得られなことが多い。しかしこのNPOの活動は、あくまでも経済的に成立することを前提としている。その姿勢が最もよく現れているのが、「この事業で何人の雇用が生まれたか?」と常に自問しているところだろう。
さて、このバイオリージョンの事務所は、BEDZedの一階にある。興味のある方は是非一度訪問してみると良い。ただし、BEDZedは一般の住宅でもあるので、プライバシーには十分注意して欲しい。また、見学コースもあるので、利用してみるのも良いだろう。

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2004年12月15日

環境リスク学

先にも書いたが、とてつもなく忙しく本を読む暇も無かった。たまっていた本の中でまず手に取ったのが、中西準子著「環境リスク学 −不安の海の羅針盤−」である。とにかくおもしろい。是非一読をおすすめする。

環境リスク学 −不安の海の羅針盤−(中西準子 日本評論社)★★★★★
環境リスク学を切り開いてきた、中西先生の退官記念講演をベースにこれまでの奇跡と環境リスク学をわかりやすくまとめた本。研究者を目指す人は、その姿勢を是非学んで欲しい。環境リスク学とは、本著では「たとえば、人の安全と河川の生態系保全は矛盾することがある。そこで、それぞれのリスクを定量的に評価しようというのがリスク学である。AのリスクをゼロにしようとすればBのリスクが大きくなる。BのリスクをゼロにしようすればAのリスクが大きくなる。だから、AとBとのリスクの和が最小になるようにマネジメントできるようにする」学問だと述べられている。これは、私が常々云っている、地球環境問題の解は関係性の中にある。ということと同じだ。特に、リスクとそれにかかるコストに注目しているが、この視� �は我々に最も欠けているものだろう。
書籍最後の方の事例として、騒音によるリスクについての記述がある。欧州リスク解析学会で発表された疫学調査の結果に言及したものであるが、騒音と心臓疾患との関係から、大気汚染による発ガンリスクより、騒音によるリスクが大きいとし指摘されている。中西先生自身は、この調査を否定的に扱っているのだが、我々のスループット方程式に騒音を取り込む上で、参考になる手法かも知れない。
本著では、実名入りで様々な批判や記事に対する反論が述べられている。ここまですぱっとやられると気持ちいい。しかし、その裏には、数々の嫌がらせや苦労があったことを忘れてはいけない。

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2004年11月07日

Secret Window

異常な肩こり。首もろくろく回らない。これといった理由が見つからないので、内臓系の疾患を考えるも見当がつかない。早めにやってきた四十肩なるものか・・・・。いずれにしても、ちょっとしんどいので、土曜日はお休みして家でごろごろ。相方は習字のお稽古。近所にマッサージ屋はないものかと散歩がてら散策。どもれ予約制にて間に合わない。
そこで、相方が帰るのを待って、以前行ったことのあるホークスタウンのマッサージ屋さんに映画を見がてら行くことを思いつく。
1時間ほどマッサージを受けるも、今日の様子を見ると全く効いていない。いよいよ内臓系か?

さて、映画である。
Secret Window(デビット・コープ監督)★★
ジョニー・デップ主演、スティーブン・キング原作で売っている映画。スティーブン・キング原作の映画ってどうしてこうチープになるんだろう。ああ、ああって感じで途中でネタバレして、後はおきまりのパターン。最後はちょっとひねりがあるけど、よく考えればキング原作ではありがちなパターン。たぶん、原作はもっとおもしろいに違いない。シャイニングはよかったけど、やっぱあれはキューブリック監督の力かな。キングは気に入らないらしく、自分で取り直しているけど、たぶんキューブリック・シャイニングの方がおもしろいに違いない。

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2004年11月01日

11月

11月1日 福岡では早朝いきなり雨が降ったがそれもすっきり上がってそれなりの天気。今年もあと2ヶ月である。来年度まで5ヶ月。がんばらないと。

映画評を2つ。
Kill Bill 2 (クエンティン・タランティーノ監督) ★★
続編。元々は一本だったのに、長くなりすぎたので2本にしたらしい。そういう事情で、ストーリー的には1を見ていないと全くわからない。1は日本映画への屈折したオマージュと派手なアクション、結構長いアニメを組み込むなど、かなり斬新でおもしろかったのだが、2は前半で力尽きたのかかなりしょぼい。だらだらと話が進み、アクションもいまいち。これなら後半をざくっとカットして一本にした方がよかったと思う。

Love Actually(リチャード・カーティス監督)★★
ノッティングヒルの恋人、ブリジットジョーンズの日記と続く、ブリティッシュラブコメディー。これらの脚本を手がけたカーティスの初監督作品。基本的には、少しずつ友達数珠つなぎ状態の人たちの恋模様が平行して進む。根底にあるのは「世界は愛であふれている!」。ちかしプロットがチープでありふれている上に登場人物が多すぎて複雑。意味不明の不必要なシーンも多く、映画としてはかなり雑。出演者は英国を代表する名優揃いなのだが、演技がうまいだけに安っぽいせりふが浮いてしまってどうしようもない。ヒューグラントのおちゃらけ英国首相もアイデアとしては良いがキャラクターが現実離れしすぎ。DVDだと最終的にカットされたシーンがいくつか見られるが、「ああ、こういうのりで作ってればああなるよね」� �いうことがわかる。「世界は愛であふれている」におぼれてしまった救われないラブコメディー。ちなみに、 ノッティングヒルの恋人は 僕が最も好きな映画の一つ。一番は「スミス氏都へ行く」です。

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2004年10月12日

プランB、天使と悪魔(上・下)

プランB(レスター・ブラウン・ワールドウォッチジャパン)★★★★
ワールドウォッチ研究所のレスター・ブラウンが書いた持続可能な社会に向けた処方箋。前半は主に水と食料とエネルギー、二酸化炭素に焦点が当てられ、如何に地球が危機に瀕しているか、これでもかと事例が挙げられ、読んでいて背筋が寒くなってくる。後半は、その処方箋が述べられるが、「具体的は方法は、すでに開発がなされ実践されている」というブラウン氏の説明とは裏腹に、世界レベルでそれを実行することが如何に難しいかがひしひしと伝わってくる。
方法は示され、それを実行すればなんとなく何とかなりそうな雰囲気を漂わせているのだが、具体的にどれくらい効果がありそうなのかは示されていないことから、若干消化不良気味

天使と悪魔(上・下) (ダン・ブラウン 角川書店)★★★★★
先に呼んだダビンチ・コードの前の作品。ダビンチ・コードにも出てくるバチカンでのエピソードの元本。主人公も同じラングドン。日本人にはこの名前、西郷どん見たいな響きがあってどうもしまりがない。
さておき、ダビンチ・コードは主にパリとロンドンが舞台であったが、この作品ではローマが舞台。呼んでいると観光案内のように旧所、名跡が出てきてすぐにでもローマに行きたくなる。こういう知的好奇心を刺激するのはこの本からすでにさえている。謎解きの方は、ちょっと安易な感じがするが、それでも充分にスリリング。一気に読めます。

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2004年10月03日

人間都市クリチバなど

人間都市クリチバ (学芸出版 服部圭郎)★★★★
ブラジルのクリチバという都市について書かれた本。クリチバは1990年に開催された地球環境サミットで環境都市に選ばれ注目を集めるようになった。この本では、環境だけにとどまらず、土地利用政策や交通政策など都市計画を中心にクリチバのまちづくりが報告されている。
この本では、「都市計画の勝利」という文言がやたらと出てくる。都市計画をちゃんとやれば、都市はこんなにすばらしくなる。ひるがえって日本は・・・・・と云いたいわけである。著者が都市計画畑の先生であるせいかもしれないが、私はこの本を読んで、むしろ政治家力の勝利を強く感じた。本文にも、成功した理由として、「協力なリーダーシップ」と「強力な実行組織の存在」がまずあげられており、どちらも政治家力(政治力とはちょっと違うニュアンスを伝えたい)によるものと思える。
この本でも取り上げられているが、クリチバの政策で僕が大好きなのが、公園の芝刈りを羊にやらせるというものだ。糞は肥料にもなるし、その風景はクリチバを代表する光景となっている。一石二鳥、三鳥にもなる「ちょっとした工夫」の最たるものだと思う。
ちょっとした工夫を実行するのは、これまでの旧弊を少し破らないとできない。それこそが政治家力なのだと思う。

ぼくんち(小学館 西原理恵子)★★★★★
ここんところ、書店で西原理恵子の本を見つける購入してしまう。その毒のあるエッセーは、人間の裏の姿を強烈に意識させる。人間の表面的な美しさや虚飾だけを見ていたい人には合わない作家なのだが、その西原理恵子の書いたエッセーではない書き下ろしの漫画が「ぼくんち」だ。
さて、この「ぼくんち」、実は映画化もされている。観月ありさが主演で、「どついたるねん」や「KT」の阪本順治が監督と結構メジャー(?)な感じ。エッセーでは、見たくない人間の裏側ばかりを書いているのだが、このマンガの舞台はその裏側をひっくり返して表にしたような港町。登場人物のほとんどが日常的に犯罪をしている人たちばかり。そうでもしないと生きていけない最下層の人たちだ。その辛い日常を懸命に、明るく生きる様には、まさに我々が失ってしまった何かがある。最後にはちょっと泣いてしまいました。

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2004年09月21日

書評・映画評 Villageなど

Village(M・ナイト・シャマラン監督) ★★★
 ホラーともサスペンスともつかない独特の作風のシャマラン監督の作品。シックスセンスはなかなかよかったので、それ以来見続けているが、作品毎にレベルが低下しているのは気のせいか? さて、今回のVillage。廻りの森には魔物が住んでいるとおびえるとある「村」の話。ウイリアム・ハートやらシガニー・ウィーバーやら結構な豪華キャスト。魔物の正体が何であるかはさておき、そこんな無理なことしなくても、アーミッシュみたいにすれば良いじゃないかと感じるストーリーに無理が。サイン以来、主題となる謎を脇に置き、人間関係やら親子の絆やらを描きたいというのはわかるんだけど、今一掘り下げが足らないし、力がそっちへ行っている分、謎の方はなおざり。今回も同じ。

アイ・ロボット(アレックス・プロヤス 監督)★★★
ウィル・スミスプロデュース・主演のロボット映画。監督のアレックス・プロヤスはクロウ飛翔伝説(ブルース・リーの息子が主演して撮影途中に事故で亡くなった映画)などのB級を何本かとっての大作デビュー。まあ、主演で売るので監督はそこそこでいいか!という考えがみえみえ。
しかし、アメリカ映画のロボットはどうしてこんなに格好悪いんだろう。作品に出てくるC3POみたいな旧世代ロボットはさておき、擬人化が進んだロボットは何とも不気味。昔ピクサーが作ったアントという蟻の映画があったが、その蟻の不気味さと共通のものがある。日本人はあれをわざと不気味に作っていると思いこむんだろうけど、アメリカ人のセンスはあれを格好いいと実は感じているのではないかと思う。
ストーリーは「2001年宇宙の旅」と「ターミネーター」と「マトリックス」を掛け合わせたような、今となってはありきたりのストーリー。映像も時々元ネタバレバレのシーンの挿入が目障り。実写映画といっても、あそこまでやるとほとんどCGアニメーション映画と変わらない。それはそれで、斬新ならいいのだけれど、これといった斬新さはないのが残念。軽快なウィル・スミスのユーモアも今回はちょっと滑り気味。唯一の救いは彼の肉体美か。

ダビンチ・コード(ダン・ブラウン) ★★★★★
 さすが世界のベストセラー。なかなか読み応えがあります。教科書にも載っているような名画にこういう見方があったのかと驚かされます。愉しく読めて、蘊蓄も学べる。軽い一冊。

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2004年09月16日

地球を救うエネルギーメニュー

漠さんの地球を救うエネルギー・メニュー(西尾 漠 七つ森書館) ★★
 原子力資料情報室の西尾漠さんが書いた本。前半は何故原発がダメかを解説するのに費やされている。本論のメニューの方はというと、かなりおおざっぱで、中学生程度の入門という感じ。原発の問題を理解するに良い。

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2004年09月13日

ハリーポッターと不死鳥の棋士団

最近読んだ本の書評を2,3と映画

ハリーポッターと不死鳥の棋士団(J. K. ローリング 静山社)★★★★
 シリーズの中最高傑作とは言わないまでも、中だるみを脱して面白く展開。15才になったハリーの苦悩は児童文学というにはちょっと重すぎる。このシリーズは映画よりも本の方が遙かに面白いので、是非書籍で読んでみて欲しい。

江戸三〇〇年吉原のしきたり (青春出版) ★★★
 様々な文学や映画でも取り上げられる吉原。その昔は現在のような刹那的な風俗街ではなく、江戸の文化的サロンであったことはよく知られている。テーマがテーマだけに、何となく聞きかじっていた知識を改めるため、ふと目にとまったので購入。吉原発祥の言葉や風俗が、現代に生き続けていることに驚く。茶柱が立つと縁起が良いとされるようになったのは何故か・・・・さて、何故なんでしょう? まあ、諸説あるんですけどね。

エントラップメント(・・・・)★★
 まあまあ。どんでん返しもありふれている。

28 days later (ダニー・ボイル監督)★★★
 ストーリー最近はやりのバイオハザードもの。トレインスポティングの監督の作品なのだが、少々つかい古されたゾンビ映画のようなできあがり。本編は★★程度なのだが、DVDサービス画像の絵コンテが面白いので★★★。

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2004年08月06日

愉しい非電化

エコライフ&スローライフを実現する「愉しい非電化」(藤村靖之 洋泉社ムック)★★★★
電気を使わない非電化製品をまとめた本。見ているだけでも愉しい。藤村氏はコマツに勤めた後、空気清浄機で一世を風靡したカンキョーを創業、カンキョー倒産後は、非電化製品の開発を行う「非電化工房」を主宰している。 電気を使わない冷蔵庫や除湿器など、一見すると眉唾ものの製品が実は科学に裏打ちされたちゃんとした「非電化製品」であることに驚かされる。ちょっと面倒だけど、ちょっと生活が豊かになる。そんな工夫も数多く紹介されている。
思えば、昔は電気なんかいらなかったけれど、いつの間にか電化製品になっているものが多い。僕自身歯ブラシは電気歯ブラシだし、台所のミキサも電気で動く。昔はメカニックなハンドルをぐりぐり回すと歯車が回ってかき混ぜる子供心をくすぐる道具だったのに。 実は少し前、部屋の中で座って自転車のペダルを廻すダイエット器具を購入したことがある。しばらくして飽きてしまったので、ネットオークションで売ってしまったが、使っているときは電気を使ってペダルをこいで、一体何やってるんだろう→自分。と思ったものである。と、今週のNewsweekの新製品紹介をみると、ほぼ同じ商品なんだけど、こぐことによって発電し、アイデアとしてはテレビを接続して、こがないとテレビが見られないというのが紹介されていた。愉しくて、ちょっとエコで、ダイエットもできて。なかなか愉しいではないか。

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2004年08月02日

地球環境報告2

書評を2,3,

地球環境報告2(石 弘之 岩波新書)★★★★★
昔読んだ、地球環境報告の続編。著者自身も書いているように、地球環境報告の改訂をしようとして資料を調べ直したところ、とても改訂では済まない変化(むろん悪化)であるということとなり、「2」として出版されたもの。これを読むと、「ダメだな・・・・」と暗澹たる気持ちになってくる。本文中にもある「問題を解決する人類の力」に希望を託したいところ。例として、70年代に予測された人口が、予測ほど増えなかったことが書かれているが、戦争やエイズの蔓延がその原因の一つと述べられると、「人類」の力と言うよりは、「神の力」といった方が正しいかも知れない。ちなみにホメロスの叙事詩に書かれたトロイ戦争は、人口の増えすぎを調整するためにゼウスがやらした戦争ということになっている。 数年前、著者の講演を聴いたことがあるが、その時も「手遅れ」と断言されていた。 さて、問題となるのは、何が手遅れであり、破局とはどういうことかということである。少なくともその時点で、人類が滅亡するわけでもない以上、現時点で最善の努力をしておくほかないのは言うまでもない。 どこへ行っても三歩で忘れる鳥頭紀行―くりくり編 (西原 理恵子 角川文庫)★★★★ 鳥頭紀行―ジャングル編(西原 理恵子 勝谷誠彦 角川文庫)★★★★ くりくり編は、飲んだ勢いでミャンマーの僧院で出家体験1週間という企画をやることになったという前振りが気になってつい手に取ってしまったのが運の尽き。他人なんてまったく気にしない、ちょー自己中な人たちの爆笑珍道中。かなり面白い。

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2004年07月20日

茶の本

茶の本(岡倉天心 講談社学術文庫)★★★★★ 文庫本なのに840円もする。何気なく手に取りレジに出してびっくりした。しかし、その価値は充分にある名著である。私なんぞが改めて言う必要もないまぎれもない名著である。 この本が書かれたのは、今からほぼ100年前の1906年、明治39年のことである。そこで述べられている東洋芸術思想、そして文明思想は100年経った現代でも全く色あせることはない。その一文を紹介しよう。

「西洋人は、日本が平和の穏やかな技芸にふけっていたとき、野蛮国とみなしていたのである。だが、日本が満州の戦場で大殺戮を犯しはじめて以来、文明国と呼んでいる。」

主題とは関係ないが、現在の日本の著述としても、全く違和感がない。
基本的には茶道を題材に日本の美術思想を述べており、日本美術思想の入門としても平易で非常にわかりやすい。もっと早く読んでおくべきであった。

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2004年07月12日

最近よんだ本と見た映画

レパントの海戦(塩野七生 新潮文庫 ) ★★★   今の多国籍軍を見ているよう。 コンスタンティノープルの陥落(塩野七生 新潮文庫 )★★★★   勢いとはこういう事。滅びるとはこういう事。 ロードス島攻防記(塩野七生 新潮文庫 )★★★★★   今でもローマには、ヨハネ騎士団が活躍しているというのは驚き 男の作法(池波正太郎 新潮文庫)★★★★★   当たり前がかっこい。 食卓の情景(池波正太郎 新潮文庫)★★★★   食へのひたむきな情熱。毎日、こんなの食べてれば、そりゃ幸せでしょう。 ロジャー&ミー(マイケル・ムーア監督)★★   初監督作品。熱意は認めるけど、ちょっとしんどい。 ハリー・ポッター アズガバンの囚人(アルフォンソ・キュアロン監督)★★★   例によってのスーパーお子様映画。原作のエピソードを詰め込むため、ディテールが全くなく、ストーリーも飛びまくり。子役もだいぶ大人になってしまってそろそろ限界か・・・・。3人の恋模様を描こうともしているが、ちょっとめざとい。連作の中では最低。

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2004年07月08日

池波正太郎

塩野七生を一通り読み終わって、今、通勤電車で頭のリハビリをしてくれるのは池波正太郎である。新聞広告でみた「男の作法」を皮切りに、今は「食卓の情景」に入れ込んでいる。もともと、時代劇は大好きで、「8時だよ! 全員集合」よりは「暴れん坊将軍」。4時過ぎの再放送ドラマよりは「遠山の金さん」というたちで、大人になってからは中村吉右衛門の「鬼平犯科帳」という口なのだが、どういう訳か時代小説には少々縁遠く、これまで読んだものと言えば、司馬遼太郎や山本周五郎、遠藤周作くらいで、どうも池波正太郎とは縁が無かった。 今度も、そういう意味では本流の時代小説ではなく、軽いエッセーから入門である。 「男の作法」も「食卓の情景」も、ほとんど食い物の事ばかり書いてあるのだが、その背景となる、戦前・戦後の情景の描写がすばらしい。物質的な豊かさから言えば、今とは比べようもないのだが、少年時代の日々の充実、周辺の市井の人々の暮らしの楽しさ、そして風景の美しさは、現在の比ではないのではないかと思う。時折、昔から風光明媚と謳われている場所に出かけてはがっかりするのだが、実は昔は本当に美しかったものを、近年になって破壊しただけではないのかと改めて思う。そのほか、食い物を求めて、まさに東奔西走する熱意には、信じがたいものがあるのだが、それだけうまいものが少なかったのか、くいもの以外の娯楽が少なかったのか分からないが、近所の定食屋で充分満足している自分からは、理解しがた� ��ものがある。しかしそれはそれで読んでいて至極楽しい。残念なのは、「食卓の情景」にせよ「男の作法」にせよ、今から25年近く前(1980年初版)の本なので、そのに出てくる店が今あるかどうか・・・・・。この時点で、老店主が一人で・・・なんて描写が多いので、無くなっているもの多いんだろうが、京都あたりの店は、今度時間ができたら行ってみようかと思う。残念なことに、福岡については、全く登場しない。東京人からすると、九州は遠すぎたのだろうか。 さて、話は変わるが、「食卓の情景」のなかに、暖房の効きすぎたデパートをとらまえて、「これほど暖かい冬なのに、デパートなどの中にはいると、暖房がすさまじいまでにきいている。デパートの買物客はコートを着てマフラーを巻いて入ってくるのだから汗みずくになってしまう。その代わり、デパートの店員は腕を剥き出しにし、夏のような薄着で快適そうだ。・・・・(中略)・・・・・。世の中が、すべて、さかさまになってきた。近いうちにわれわれ人間は大自然の鉄槌を受けると覚悟しなくてはなるまい。」との一文がある。1990年に没した池波正太郎に鉄槌が下ることはなかったが、改めてその洞察力のすばらしさを偲ぶ。

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2004年05月24日

愛の年代記

愛の年代記(塩野七生 新潮文庫)★★★ マイブーム中の塩野七生の第3弾。イタリアの伝記や伝説、小話から愛に生きた女をピックアップして、塩野風にアレンジした短編をまとめたもの。創造のものが多いのだが、やはり彼女の真骨頂は、ベースがあって、それを彼女なりにふくらませることか。これまでのものと比べ、少々質が落ちるが当時の歴史的背景の中で、女がどう愛に生きたがなかなかおもしろい。

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2004年05月21日

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 塩野七生 新潮文庫 ★★★★★ これまで残忍な君主として取り上げられることが多かったチェーザレ・ボルジアを英雄として捉え直した塩野七生の長編。マキアヴェッリが君主論を書くきっかけともなっただけに、なかかな痛快である。先日のイタリア遺聞以来、僕の中では第3次塩野七生ブーム。最初はイタリアに行く前に父から貰った「海の都の物語」(この経験で旅は予習をすればするほど面白いことを発見)が第一次。ローマ人の物語の刊行が始まって第2次ブーム。そしていま。彼女の本を読むと、イタリアに行きたくなるんですよね。 前にも書きましたが、自転車で通勤できないところに勤務するのは初めての福岡。片道約20分の乗車時間を読書に。これもなかなか良いもんですな。

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2004年05月15日

イタリア遺聞

イタリア遺聞(塩野七生 新潮社) ★★★★★ 塩野七生のイタリア話。気軽に読める内容だけれど、その内容は教養の滋養となること間違いなし。奥付を見ると昭和6年に発行で既に23刷を重ねている。一気に読める秀作のエッセー。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 21:03 | トラックバック


2004年03月24日

マイケル・ムーア

読書評を二三、 アホでマヌケなアメリカ白人(マイケル・ムーア)★★★★ しばらく前見た映画ボウリング・フォー・コロンバイン(アカデミー賞のドキュメンタリー部門を受賞)が思いの外良かったので、これまたしばらく前に話題になった本著を遅ればせながら斜め読み。主題となっているブッシュ批判たるや、舌鋒するどくなかなか面白い。大統領選挙時の票の数え直し問題や先日の台湾の選挙を見ていると、二大政党制が果たして良いものなのか考えさせられる。 ブッシュが選挙時に行った露骨な身内びいきや不正も、イラク統治でのハリバートンの所行を聞くに付けきっと本当なんだろうと思ってしまう。 パレスチナ問題では、インドのカンジーを例に挙げ、道に座り込み、イスラエルに協力せず、イスラエル企業で働かずといった、受動的抵抗を提唱している。ハマス創始者の暗殺もあり、ますます暗澹たる雰囲気に包まれてきたパレスチナであるが、少しは歴史を勉強して欲しい。 わかる! 建築のゴミとリサイクル計画(関五郎、大橋一正:オーム社)★★★ 建築のリサイクルに関する初学者向け読本。原則一項目2ページで解説されており読みやすい。 基本から知る 素材・建材ハンドブック(コンフォート別冊:建築資料研究社)★★★ 建築に必至な建材を丁寧に解説。改めて眺めるにはまとまっており良い。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 12:39 | トラックバック

2004年03月20日

映画評を3つ

Two Week Notice(監督:マーク・ローレンス DVD 2004.3.20)★★ サンドラ・ブルックとヒュー・グランドの毎度おなじみ大人のラブコメディー。しかし、ヒュー・グラントはこういう役しかやらないのか??。元気がとりえのサンドラ・ブルックも、年月には勝てないのか輝きに衰えが目立つ。この手のコメディはお手の物のヒュー・グラントも、薄っぺらい脚本はどうすることもできず撃沈。笑えない大人のラブコメディー。 レジェンド オブ メキシコ:デスペラード(監督:ロバート・ロドリゲス 2004.3.14)★★★☆ シリアスな映画からお子様向けスパイ映画まで何でも取れる映画職人のシリーズ3作目。もう少しシリアスかと思っていたら、アントニオ・バンデラスも、ジョニー・デップも、エンリケ・イグレシアスも、ウィリアム・デフォーもミッキー・ロークも、どこなくゴメディチック。出演者全員が楽しんでいる感じ。キルビルと相通じるものを感じるのだが、映画としては断然こちらのほうが楽しめる。 Mystic River (監督:クリント・イーストウッド 2004.02.08)★★★★★ クリント・イーストウッド監督でショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンが出演とちょっとミーハーは感じがしないでもない映画であるが、枯れたイーストウッドの演出と円熟した演技で、どこまでも渋い映画。アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされたのはティム・ロビンスであるが、やはり圧巻の演技を見せたのはショーン・ペン。久しぶりに出会った良い映画。この欄初めての五つ星。

投稿者 Hiroto Takaguchi : 18:11 | トラックバック



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