うつ病は免疫系進化の副産物?:科学ニュースの森
うつ病は生活習慣やストレスなど様々な原因があると考えられている。うつ病は誰でもかかり得る病気として知られ、現代社会では大きな問題となっている。
要約:
アメリカでは10人に1人がうつ病にかかっていると考えられており、ありふれた精神疾患として知られている。そのためうつ病は脳内に刻み込まれたもので、誰でもかかる可能性のあるものだとされている。このことから、様々な生物学者がうつ病は進化の過程で、何らかの利点があったのではないかという説を立てている。
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これまで様々な研究者がうつ病が進化の過程で、どのように社会での行動に影響を与えているのかを研究している。そこで、エモリー大学の Andrew Miller博士とアリゾナ大学のCharles Raison博士が違った方法により、うつ病と感染症への耐性に関わりがあるのかどうか研究を行なっている。彼らは、うつ病を起こさせる遺伝的な変 異は、進化の過程で感染症を防ぐために備えられたものであると考えている。
ここ数年で、うつ病と炎症や免疫系の過剰反応の関わりが確認されており、うつ病を患っている人々は、感染症にかかっていなくとも大きな炎症を起こしやすい。
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Miller博士によると、うつ病を引き起こす殆どの遺伝的な変異は、免疫系の機能に影響を与えていることが分かっているという。このことが、なぜうつ病が遺伝子に組み込まれたままなのかということを、改めて考えるきっかけになったようだ。
またRaison博士によると、うつ病は他の人々との人間関係に悪い影響を及ぼすが、先史時代の環境で特に若い人々にとっては、感染症での死亡率を下げることになっていたようだという。
感染症は初期のヒトの歴史上で最も大きな死亡原因であったため、感染症を防ぐことが遺伝子を子孫へと繋げる最も効率のよい方法であった。そのために、うつ病の症状や生理学的な反応が選択され生き残っていったのだろう。うつ病による熱、食欲不振、不活動、社会逃避などは、どれも感染症を持った人々 との接触を避けるのに有用となる。
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この説は、なぜストレスがうつ病の原因となるのかという事実に新たな説明を加えることにもなる。ストレスとうつ病の関係は、傷を負ったときに免疫系をあらかじめ活性化させる過程の副産物なのだという。
また睡眠障害は気分障害や免疫系の活性化時に起こりやすく、これは先祖が傷を負ったときに捕食者を素早く察知できるように、眠りを阻害されていた者から生き残っていたと説明できる。
Miller博士とRaison博士の説は将来のうつ病研究に指針を示すことになる。例えば、炎症のバイオマーカーの出現によって、うつ病患者が 治療にうまく反応しているのかどうかを調べることが出来るようになるかもしれない。彼らはまた、自己免疫疾患の治療薬が、うつ病の治療や予防に利用できる かどうか研究を行なっている。
元記事:
Depression: An Evolutionary Byproduct of Immune System?
参照:
C L Raison, A H Miller. The evolutionary significance of depression in Pathogen Host Defense (PATHOS-D). Molecular Psychiatry, 2012; DOI: 10.1038/mp.2012.2
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